本田圭佑からもらった金言を胸に、元川崎のDF井川は香港で奮闘する (3ページ目)

  • 井川洋一●取材・文 text by Igawa Yoichi
  • photo by Getty Images

――実際にプレーした香港プレミアリーグはいかがでしたか? 

「イギリスの影響があるのか、"大きく蹴って走る"といったスタイルです。僕は風間(八宏)さん(現名古屋グランパス監督)などから、パスサッカーを学んできたので、そのギャップは大きかった。でも"郷に入っては郷に従え"というように、自分が変わるべきだと思い、順応していきました。リーグのレベルは、実感としては、J2の下位ぐらいでしょうか。いや、日本の大学の強いチームなら、勝てる試合もありそうです。でもその分、伸びしろはある」

――香港でやっていきたい理由は?

「周囲からは『なんで香港なの?』って何度も聞かれましたけど、この街は、いい意味でミックスされていて、すごく刺激があるんです。欧米の人が多いエリアもあれば、地元の人しかいないようなところもある。中心街はものすごく都会だけど、ちょっと離れれば自然もたくさんあったり。ヨーロッパみたいな街並みのところもあれば、中国っぽいところや、日本みたいなところもある。

 異文化が入り混じっているところが好きです。一度でいろんな味が楽しめる、というか。あと、ちょっと意外だったんですけど、人がすごく温かい。子供にはとくに優しいので、小さい子が3人いる僕には助かっていますね」

――ご家族はどうですか?

「妻も子供も香港を気に入っています。子供にはいろんな経験をしてもらいたいし、僕自身は英語ができなかったことがコンプレックスだったので、子供には同じ思いをしてほしくない。名古屋(グランパス)時代に、(川島)永嗣と一緒に英語のプライベートレッスンに通っていたんですけど、僕は上達しているのかもよくわからなかった(笑)。

 だから、僕が英語に触れたのはこっちに来てからかもしれませんね。徐々に相手の言っていることがわかってきて、言い回しを真似したりして、少しずつ話せるようになっています。子供は今、英語と中国語を学んでいます。妻も僕のやりたいことを応援してくれているので、ありがたいです。ただ、僕はもう36歳なので、セカンドキャリアのことも考えています。家族全員、この先もここで生きていきたいので、引退後のことも考えないといけない」

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