ベンゲルの去ったアーセナル。
エメリ新監督の改革は吉と出るか (2ページ目)
もちろん、スカッドにも自身のカラーを植えつけ始めている。今夏の市場ではDFソクラティス・パパスタソプーロス(前ドルトムント)、DFステファン・リヒトシュタイナー(前ユベントス)、GKベルント・レノ(前レバークーゼン)、MFルーカス・トレイラ(前サンプドリア)といった守備陣を中心に獲得した。
とくに34歳のリヒトシュタイナーと30歳のパパスタソプーロスには、エメリ監督も「経験値をチームに注入してくれる」と期待を込める。経験豊富なベテランを加えることで、守備の骨格を固めたいのだろう。「名より実を取った的確な補強」(戦術アナリストのエイドリアン・クラーク氏)と、その人選も高く評価されているように、ベンゲル体制のウィークポイントだったディフェンスの整備に力を注いだ格好だ。
実際、ベンゲル体制で過去最低となる6位で終えた昨シーズンは、「51失点」を喫した。この数字はトップ6クラブでワーストであり、マンチェスター・Cの「27失点」、マンチェスター・Uの「28失点」に比べて約2倍。リーグを7位で終えたバーンリーの「39失点」よりも多いのだから、いかに昨季のアーセナルのバランスが悪かったかがわかる。
それだけに、新加入選手をチームに融合させながら、いかに守備組織を盤石に仕上げるか――ここがエメリ監督にとって、目下の課題になるだろう。そのエメリ監督とベンゲル前監督の違いについて、スペイン人DFのエクトル・ベジェリンは次のように説明している。
「ベンゲル監督とエメリ監督の哲学は大きく異なる。ベンゲル監督は選手たちのインスピレーションに委ねるところが多く、自由を与えてくれたけど、エメリ監督はもう少し戦術的だ。ピッチ上はより組織化されている。練習方法も大きく変わった。ベンゲル監督時代にはやらなかったことにも取り組んでいる。監督の考えを消化しようと全力で取り組んでいる」
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