2018.07.15

W杯決勝直前。超速・フランスと好感度抜群・クロアチアの本質に迫る

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi photo by JMPA

 6月14日に開幕したW杯ロシア大会も準決勝2試合が終了し、フランスとクロアチアが決勝に進出した。フランスは2006年大会以来通算3度目、クロアチアにとっては初めてとなるW杯ファイナリストの栄誉を手にしたわけだが、両チームの準決勝における”戦いぶり”は、実に対照的だった。

 まず7月10日にベルギーと対戦したフランスは、チーム最大の武器である堅守速攻を生かし、相変わらず隙のない勝ち方をした。

フランスの攻撃の中心、ムパッベ(左)とグリーズマン 対戦相手のベルギーは、ラウンド16の日本戦の後半途中に覚醒すると、その勢いのまま準々決勝では横綱ブラジルから大金星。開幕前は関脇にランクされていたチームが、準決勝を戦う頃には角番大関に昇進した恰好だ。

 勢いではベルギーが上。戦術バリエーションでも、ベルギーのロベルト・マルティネス監督の方が上。本来であれば、下馬評は格上フランスの圧倒的優勢となるはずが、今回ばかりは五分五分に近かった。

 そんな中で迎えたこの試合は、まさしくチーム戦術を極めたヨーロッパの強豪同士の戦いとなった。そして、試合のポイントをひとつに集約すれば、それはフランスの左サイド、つまりベルギーの右サイドとの攻防にあった。

 この試合のベルギーのスタメンは、出場停止のトーマス・ムニエに代わってナセル・シャドリが右サイドバックに入り、中盤の底の位置にムサ・デンベレを起用した4-3-3。ゼロトップ状態で戦ったブラジル戦とは異なり、前線はロメル・ルカクが1トップに入り、ケビン・デブライネが右サイドに位置した。

 フランスの基本布陣は4-2-3-1。しかし、ディディエ・デシャン監督は左ウイングの位置にアタッカーではない守備的MFブレーズ・マテュイディを起用したため、左サイドの前方にぽっかりとスペースが空いたアンバランスな前線になる。

 マルティネス監督が、右サイドにデブライネを置いた狙いはそこにあった。同時に、シャドリが常に高いポジションをとれるため、ベルギーの最終ラインは自然とスライド式3バックに近い状態になる。