2018.06.21

1人で全得点も、ポルトガルは
C・ロナウドのワンマンチームにあらず

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 ポルトガルがモロッコを1-0で下し、イランに1-0で勝利したスペインととともに、勝ち点4でB組の首位に並んだ。

モロッコ戦でもゴールを決め、ここまで4ゴールのクリスティアーノ・ロナウド 2年前、フランスで開催されたユーロ2016。ポルトガルはこの大会を制した現欧州チャンピオンだ。しかし、ユーロ2016では出だしから好調だったわけではない。ハンガリー、アイスランド、オーストリアと組んだグループリーグは3戦3分で3位。ユーロはこの大会から、本大会を24カ国で争うことになったため、決勝トーナメントを争う16強入りの可能性は、計6組のグループリーグの3位チームにもあった。

 ポルトガルは3位のチームのなかで3番目の成績(全体では15番目の成績)でグループリーグをきわどく突破。ベスト16入りを果たした。そこから次第に調子を上げていき、決勝では前評判の高かった開催国フランスを撃破。戦前の予想を覆す優勝を飾った。

 ポルトガルといえばクリスティアーノ・ロナウド。グループリーグの初戦で対戦し、3-3で引き分けたライバル国、スペインとは対照的だ。絶対的なエースはいないものの、全員が高い知名度を持つスペイン。これに比べるとポルトガルはワンマンチームのように映る。

 確かにC・ロナウド以外の選手の知名度は落ちる。しかし、ユーロ2016の決勝ではC・ロナウドを前半早々にケガで欠いたにもかかわらず、難敵フランスに勝利している。実はポルトガルの魅力はチームワークにあるのだ。全員で戦う術(すべ)をどこよりも高く備えている。

 光るのはフェルナンド・サントス監督の采配だ。この監督はユーロ2016のグループリーグで、突破が危ぶまれる状況でもベンチにいる選手、全員を使おうとした。サブ、スタメンの境界がないメンバー構成で戦い、つまり、戦力がある程度落ちることを覚悟の上で戦った。