訴訟、大ポカ、監督解任...。飛行機事故のシャペコエンセが再び苦境に (3ページ目)

  • 沢田啓明●文 text by Sawada Hiroaki photo by Getty Images

 サイドではSBとウイングが連携して縦へ突破しようとするのだが、相手に数的優位を作られてクロスを入れる前にボールを奪われ、SBの裏へボールを通されて再三、決定的なピンチを招いている。また、クロスを入れても中にいるのはCFだけで、2人がかり、3人がかりでマークされると点を取るのは難しい。攻守両面でオプションが少なく、手詰まりになっている。

 状況を変えるには、フォーメーションを4-2-3-1か4-1-4-1に変更し、攻守に貢献できる選手を中盤に並べ、傑出した個人能力を備えた選手がいない弱点を組織力でカバーするしかなさそうだ。

 シャペコエンセを悩ませているのは、ピッチ内の問題だけではない。クラブにとっては、昨年の飛行機事故で死亡した選手らの遺族への補償問題が頭痛の種となっている。

 ブラジルサッカー連盟とクラブは選手に生命保険を掛けており、亡くなった選手それぞれにすでに40カ月分の給料が支払われている。だが一部の遺族が給料の中に肖像権や勝利給などを含めることを求めて訴訟を起こし、クラブはその対応に追われている。

 また、墜落したチャーター機を所有していたボリビアの航空会社が法律で加入を義務付けられている保険が、保険料の未払いなどで事故時点で失効していたとされ、事故後7カ月が過ぎてもこちらの保険金は支払われていない。遺族からは、この航空会社を選んだクラブ側の責任を指摘する声もあがっている。

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