リバプールのプレミア最多得点を演出する「ニセ9番」のフィルミーノ (3ページ目)

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke
  • photo by AFLO

 そして、もうひとつの大事なポイントが、「ファーストディフェンダーとして守備でも貢献している」(クロップ)こと。ボールを奪われた瞬間から、敵に寄せていってボールを奪い返す「ゲーゲンプレス」がクロップ体制における重要なコンセプトであり、ここでもフィルミーノは前線からの献身的な守備でチームを支えているのだ。

 敵を追いかける彼のワークレートの高さは、数字が証明している。今シーズン前半戦における1試合平均の走行距離は11.43km。チェルシーのCFジエゴ・コスタの9.98km、マンチェスター・シティのCFセルヒオ・アグエロの9.82km、そしてリバプールと同じようにプレッシングサッカーを志向するトッテナム・ホットスパーのCFハリー・ケインの10.67kmを大きく上回っている。最前線のターゲットマンとして機能するエバートンのCFロメル・ルカクにいたっては8.69kmで、それに比べて25歳のブラジル人アタッカーは、リバプールの「走るサッカー」の象徴的存在なのである。

 ストライカーとしての能力で言えば、彼の決定力は決してパーフェクトではないが、絶えずポジションを動かして味方のフリーランを引き出し、放射線状にパスを出して好機を演出する。そして、トリッキーな足技を生かし、自ら局面打開も図る。さらに、守備もいとわない。

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