本田圭佑のパラドックス。
チームが調子を上げると居場所を失う

  • ステーファノ・メレガリ(『Forza Milan!』編集長)●文 text by Stefano Melegari  利根川 晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

オフィシャル誌編集長のミラン便り2016~2017(16)

 ミラニスタにとっては最高のクリスマスプレゼントとなった。ドーハの地でミランはPK戦の末、リーグ5連覇中のユベントスを破り、史上7度目のイタリア・スーパーカップを手に入れた。

 1986年2月24日に始まる、ベルルスコーニ・ミランの29個目のタイトルでもある。115年のミランの歴史の中で、いや、もしかしたらイタリアサッカーの歴史の中でも、最も多くのタイトルを勝ち取った一時代であるかもしれない。ただし、予定通りにいけば3月の初めには、この栄光ある時代も幕を閉じ、ミランは中国人実業家たちのものになる。その最後を華々しく飾るタイトルでもあった。

スーパーカップのトロフィーを手にした本田圭佑(BUZZI/FOOTBALL PRESS)スーパーカップのトロフィーを手にした本田圭佑(BUZZI/FOOTBALL PRESS) それにしてもこの2016年という年は、前半と後半では天と地ほどの違いがある1年だった。前半は苦い思いが多く、あと一歩のところでヨーロッパリーグ出場を逃した。なにより久々にタイトルに手が届くと思われたコッパ・イタリア決勝での敗戦には、大いなる失望を味わった。

 しかし、7月にヴィンチェンツォ・モンテッラが新監督に就任すると、彼は新たな風をミランにもたらし、半年後には、蒔いた種が着実に実を結び始めた。もちろんモンテッラの功績だけではなく、中にはジャンルイジ・ドンナルンマのような前任者シニシャ・ミハイロビッチが残していった置き土産も今のミランを支えている。

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