もうひとつのW杯を沖縄で。サッカー琉球代表がFCコリアと対戦 (3ページ目)

  • 木村元彦●文 text & photo by Kimura Yukihiko

今回の親善試合を実現させた琉球フットボール協会の宮城亮今回の親善試合を実現させた琉球フットボール協会の宮城亮
 宮城はConIFAの存在を知ると、即座に琉球代表を組織して加盟することを決意し、今年6月のアブハジア大会にも視察に駆けつけた。アブハズ語はもちろんわからないが、スタンドでは得意のパフォーマンスで盛り上げて、アブハズ人サポーターを「お前は同胞だ!」と感涙させている。世界大会を直接体験したことで、その意義を再確認した宮城はConIFAの沖縄開催をできないかと真剣に考え出した。

「政治的、宗教的な意味合いではなくて、琉球王朝がかつてここにあったという事実から、沖縄県民が自分たちの歴史や文化を大切にしているということを世界に向けて発信したいんです。我々にとっても世界中のマイノリティや先住民ともフットボールを通じて交流することは重要です」

 宮城は夢を語る。

「パスポートの色は違っても、世界中にいるウチナンチューで代表チームを作ったらすごいじゃないですか」

「ConIFAの理念からも沖縄でやることに意味があるじゃないですか」

 確かに。かつて読売クラブのエースとして日本リーグで暴れ回り、請われて日本代表になったジョージ与那城は沖縄出身の日系ブラジル二世である。沖縄にルーツを持つ在外の選手が世界中から集まれば、夢のような琉球代表が出来上がるかもしれない。固有な文化を持つ沖縄という地域を世界に発信する上でもサッカーは最高のツールである。

 宮城はConIFAを最初に日本に紹介し、ペールー=アンデルス・ブランド会長、サシャ・ヂュエルコップ事務局長の信頼も厚いライターの実川元子に相談して動き始めた。実川の尽力で役員にも紹介され、ConIFAも沖縄に注目し出した。何度かやりとりがあり、ついに11月、その第一歩として公認の親善試合が実現したのである。試合の方は沖縄県内の大きな大会と重なってしまったことで、琉球代表選手の選抜が思うようにできず、アブハジアでセーケイランド代表、クルド代表を破り、「国際試合」に一日の長があるFCコリアに圧倒されて0対9で大敗を喫したが、まずは実績を刻んだ。

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