内田篤人の復帰。「贅沢は言わない、長く続けられるだけでありがたい」 (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by Getty Images

 シャルケは試合終了間際に相手に追加点を与えたが、それも本来の内田だったらありえなかったプレーかもしれない。0-1とリードされていたシャルケは、93分、CKを得てGKも前線に上がって点を取りにいく。内田はひとり、ペナルティエリアの外でカウンターに備えたが、こぼれ球をドリブルで運ぶ相手への対応を誤った。潰しにいくのか、味方と挟んで止めるのか。逡巡している間に、走り出したヨシプ・ラドシェヴィッチへのスルーパスを出されてしまった。GKの戻りは遅く、最後は冷静に流し込まれた。

 これまでの内田なら、最初の対応の判断に迷うことはなかっただろう。コンタクトプレーもスピードも、そして判断もまだまだ。EL1次リーグ、シャルケは1位突破をすでに決めていたこともあり、内田も周囲も多少プレーが緩んでいたことは否めない。

 それでも、こうして勝負の場に立てたことがなによりの収穫だ。「チームのドクターは『お前は復帰できないと思ってた』と言うからね」と、内田は話す。

 ヴァインツィール監督も試合後、ゲームについて語る前にわざわざ内田について言及し、「内田の復帰は本当にうれしい。こんなに長い間ケガで苦しんだのに、戻ってきたのはすばらしいことだ」と喜んだ。

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