新システムで強いセビージャ。清武の扱いでサンパオリの戦略がわかる (2ページ目)

  • 山本孔一●文 text by Yamamoto Koichi photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

「誰が先発なのか、どんなシステムなのか、試合が始まるまでわからない。やりたいサッカーはわかるが、全くできていない。結果が出ていなければ責任問題が問われる内容だが、不思議と結果は出ている」

 不信感は地元記者たちの中にも生まれていた。だが、サンパオリに向けられた疑心の眼差しは、中盤の王様として君臨するサミル・ナスリの活躍と、今後の戦いのベースとなる2つのシステムを披露したことで薄れていく。

 サンパオリのサッカーの特徴は、よくも悪くも中盤でのハイプレス。いかにショートカウンターでボールを運ぶかが重要になってくる。だが、セビージャにはナスリ、フランコ・バスケス、ガンソ、清武弘嗣と、起点となるプレーを得意とする選手が多く、DFラインの裏へ走るような"使われる選手"が少ない。このため攻守の切り替えが致命的に遅いという欠点を、開幕当初のチームは抱えていた。

 だが、チャンピオンズリーグ(CL)のオリンピック・リヨン戦(9月27日)からサンパオリはメンバーを固定。ルシアーノ・ビエット、ウィサム・ベン・イェデルの2トップを使うようになり、前線への引き出しを増やし、よりカウンターを意識したスピードあるサッカーを見せ始めた。

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