優勢なのに負けたドイツ。サッカーはうまいがゲルマン魂が足りない (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 実際、惜しい機会は何度も作った。少し運があれば2点ぐらい入っていても不思議はなかった。だが、ドイツは反撃を結果に結びつけることができな かった。サッカーは上々。10点満点で7点はつけられた。悪くないサッカーをした。それなのに追いつけなかった。もう一度、最初から試合をすれば、勝てそ うな相手に対して、だ。アトレティコに敗れたバイエルンに瓜二つ。いいサッカーなんだけれど、追いかける迫力に欠けた。

 ドイツはかつてに比べ、飛躍的にうまくなった。選手のボール操作技術が向上した。ボールがよく回る、見栄えのいいサッカーに一変した。だが「魂」は、昔の方が上だった。

  フランス対ドイツといえば、想起するのは82年、86年W杯の準決勝。うまさで勝るフランスを、西ドイツ(当時)が力と魂でねじ伏せた一戦だ。フランスは 終盤、ヘビに睨まれたカエルのような状態に陥ったが、今回の準決勝は最後までたくましかった。8割方、アフリカ系の選手で固められていることとそれは大き な関係にある。昔のフランスより、お洒落度は低下したが、アスリート度は上昇。ひ弱さが消えた。

 今大会は、スペインの3連覇なるかに注目が集まっていた。達成すれば前人未踏の快挙だったが、問題の多いサッカーで舞台から早々に消えた。

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