頭を抱えたメッシは代表引退へ。アルゼンチンまたもコパ決勝で散る (3ページ目)

  • 三村高之●文 text by Mimura Takayuki photo by Getty Images

 今大会のアルゼンチンで目を引くのは、中盤でのプレスの厳しさだ。これまではハビエル・マスチェラーノの仕切りに任せている感が強かったが、現在はチームとしてしっかり連動している。

 そのプレスは決勝でも変わらなかった。開始わずか16秒にエベル・バネーガが惜しいミドルシュートを放ち、そのままペースはアルゼンチンが握る。チリはボールがつながらず、奪われてはピンチを招く。21分にはイグアインがGKをもかわしてシュートを放つが、枠を外す。予想外の一方的展開となったが、アルゼンチンは明らかに飛ばし過ぎだった。ここをしのげば、チリにもチャンスは訪れる。

 しかし、27分にメッシへのファールで2回目の警告となったマルセロ・ディアスが退場になってしまう。この日のメッシは3~4人に囲まれても果敢にドリブル突破を仕掛けて反則を誘い、1人で8つのFKと4枚ものイエローカードを稼いだ。劣勢の上に10人となったチリはこれで絶望かと思われたが、43分にアルゼンチンもDFファウスティーノ・ロホが一発退場に。決勝も荒れ模様となった。

 10人対10人で後半に入ると、チリは急がずにつなぐことを重視するようになり、これでゲームが落ち着いた。アルゼンチンも1人を欠いたことでプレスが弱くなり、いつの間にか互角の展開に。そして、1分の間に両チームのGKがスーパーセーブを見せるという、しびれるような好ゲームとなった。しかし結局、得点は生まれず、延長戦の末、またしても優勝の行方はPK戦に委ねられた。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る