首位で決勝T進出のフランス。「特殊なサッカー」は強豪国に通用するか (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 赤木真二●写真 photo by Akagi Shinji

 自分がその役をこなさなければ、攻撃は単調になる――とは、グリーズマンの言い分だろうが、彼が真ん中に入れば、相手ボールに転じた瞬間を、バランスを崩した中で迎えることになる。したがってそのボール奪取に、時間を費やすことになる。

 1回攻めたら、1回攻められるサッカー。フランスは連続攻撃がきかないサッカーに陥っていた。ボール支配率に至ってはスイス59対フランス41の関係に持ち込まれた。

 つまり、スイスの方がパスがよく繋がった。展開力でも上回った。マイボールを失う危険性では、スイスはフランスを下回っていた。この日のスイスは、これまで見た中で一番と言いたくなるいいサッカーをした。かつてのフランス的な匂いを感じた。

 後半31分、右サイドでボールを受けたシソコが、187センチの巨体を揺らしながら大外をドリブルで豪快に進む。そしてゴールライン際まで走りきり、逆サイドまで届く、マイナスの深々としたセンタリングを折り返した。待ち受けていたのは初戦(対ルーマニア戦)でMOM(マン・オブ・ザ・マッチ)に輝いたディミトリ・パイエ。その左足から放たれたインステップも豪快だった。ゴールは決まらなかったが、バーを直撃。スタンドを埋めた自国のファンまでも、目を丸くさせてしまうド迫力の一撃だった。

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