シュート19本で1点。ユーロの伏兵・スイスの攻撃が期待外れなわけ (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Hara Etsuo

 これまでの2試合は1勝1分けとはいえ、奪った得点は2試合でわずか2ゴール。しかも、いずれもコーナーキックから生まれたもので、流れのなかからは無得点だ。

 志向するサッカーはかなり洗練されている。モダンと表現してもいい。

 ふたりのセンターバックがワイドに開いてビルドアップし、両サイドバックを高い位置に押し出す。両サイドMFはタッチライン際でも中央でもプレーでき、長短のパスを駆使するボランチがピッチを横に広く使って、どこからでも攻撃を仕掛けてくる。スイスのサッカーを文字にすれば、そういうことになる。

スイスの中盤でパスを供給し続けたジャカスイスの中盤でパスを供給し続けたジャカ ルーマニア戦でも、ボールポゼッション率は61%と相手を大きく上回り、放ったシュートは19本。数字上も、ルーマニアゴールに向かって怒涛の攻撃を仕掛けていたかのように見える。

 だが、90分間にどれだけ決定機があったかを物差しにするなら、スイスが効果的な攻撃を続けていたとは言い難い。むしろ、無骨にゴールに向かってくるルーマニアの攻撃に、スイスがタジタジになる場面が多かった。

 一見洗練されているようで、実は中身が薄い。スイスがやっていたのは、そんなサッカーだ。

 スイスはこれだけボールを支配し、攻め続けていながら、なぜ決定機が少ないのか。

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