CL連敗のアーセナル。なぜ2億ポンドの資金を使えないのか?

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke  photo by Getty Images

 フランス人指揮官の考えは明快だ。ワールドクラスの選手を適正価格で獲得する。しかし、札束攻勢をかけてまで無理な補強は行なわない。インフレ傾向にあった今夏の市場では、補強を見送ったまでのこと……。そういうことである。

 こうしたベンゲルの堅実な考え方は、マンチェスター・ユナイテッドが出来高を含めて総額5800万ポンド(約107億円)もの大金で獲得したFWアントニー・マルシャルに関するコメントからもうかがえる。

「まだ19歳の若者にすぎない。しかも、リーグ・アンで通算11ゴールを決めた実績しかない。移籍金は明らかにオーバープライス。金額の大きさからわかるように、ビッグクラブを強化できる人材が市場で不足しているということだ。移籍が可能な選手なら、その数はさらに減る」

 フランスのストラスブール大学で経済学を学び、アーセナルのクラブ財政にも深く関わるベンゲルからすれば、適正価格に余分な資金を上積みしてまで補強するほど、ナンセンスなことはないのだろう。

 だが同時に、マンチェスター・シティが総額1億5500万ポンド(約282億円)、マンチェスター・ユナイテッドが1億1200万ポンド(約203億円)もの資金を市場で投下しているのも事実である。アーセナルが投資したのは、チェフに費やした1000万ポンド(約18億円)のみ。当然、タイトルは金だけで買えないが、消極的な姿勢に対してスポーツ専門チャンネル『スカイスポーツ』は、「ライバルたちの補強を、指をくわえて見ていただけ」と切り捨てた。

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