混迷する世界王者。「ドイツの時代」は早くも終焉か...
6月特集 ブラジルW杯から1年 ~日本代表と世界はどう変わったのか?~(10)
一年前のブラジルW杯で、優勝カップを高々と掲げるドイツ代表を見て、世界中の誰もが「これからは"ドイツの時代"になる」と、想像したのではないだろうか。
2000年から本格的に始まったドイツサッカーの再建計画。その成果がようやく実を結んで、ドイツは4度目のW杯制覇を遂げた。しかも、ブラジル相手に7-1で勝つなど、その強さは群を抜いていた。そのうえ、次世代を担う若いタレントたちが続々と登場していることを思えば、当分の間、ドイツが世界の頂点に君臨し続けるのではないか、と考えるのも当然だろう。
ブラジルW杯では世界中を驚かせる強さを見せたドイツだが......。 ところが、2014年9月から始まったユーロ2016予選では、ブラジルW杯のときには予想もできなかった事態が待ち構えていた。
あの強かったドイツが、初戦のスコットランド戦(2-1)こそ競り合いをモノにして勝ったものの、続くアウェーのポーランド戦では、同国相手に史上初の黒星。0-2と歴史的な敗北を喫した。さらにその3日後にも、ホームでアイルランド(1-1)と引き分けてしまったのだ。
ここまでのユーロ予選の成績は、4勝1分け1敗の勝ち点13。首位の座をポーランドに譲って、目下グループ2位に甘んじている。また、6月10日にはホームでアメリカ代表との親善試合を消化したが、ここでも1-2と逆転負け。一年前の強さが嘘のように、ドイツ代表は今、停滞している。
いったい、ドイツ代表に何が起こっているのか? こうした状況に陥ったのは、主にふたつの理由が考えられる。
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