コパ首位通過のアルゼンチン。メッシと監督の微妙な関係 (3ページ目)

  • 三村高之●文 text by Mimura Takayuki photo by Getty Images

 メッシが、「ロッカールームで何かバカなこと言ってたな」と言うと、「簡単には勝てないぞ、だって」とディ・マリアが応えて笑っていたのだ。おそらくは前半を楽勝で終えた後、マルティーノ監督が選手の気を引き締めようとしたのだろうが、それは完全に無視された。

 第2戦は、右SBサバレッタのクロスをCFアグエロが決めるという狙いどうりの得点により、1-0でウルグアイとのクラシコ(ラプラタ川をはさむ両国の対戦はラプラタ・クラシコと呼ばれている)を制した。この試合でマルティーノ監督は、タッチラインの中に入って主審に抗議し退席を命じられた。タッチラインを踏み越えれば退席となるのはわかっていることなので、選手たちへのパフォーマンスとして、敢えてこの行動をとったとも思える。

 そして第3戦は格下の招待国ジャマイカ戦。この試合はアグエロに代わりイグアインがCFで先発した。その彼が先制点を挙げ、その後何度も決定機を作るが、結局は1-0で終了した。「前半は良かったけど、後半はうまくいかなかった。なぜかわからないけどリズムが落ち、走るスピードも遅くなった」とメッシは振り返った。

 この試合はピンチこそなかったものの、攻め込んでいるだけで時間が経過する凡戦だった。意図的に攻めさせてから仕掛けるといった工夫があれば、違った展開になっていただろう。初戦に続きまたもや後半に問題を露呈してしまった。

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