ドイツで報じられた日本敗退。「シンジ、顔を上げて」

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • 松岡健三郎●写真photo by Matsuoka Kenzabutou

 ゴール左隅を狙ったペナルティキックがポストを直撃し、香川真司は呆然と座り込んだ。その直後、ドルトムントは公式SNS上でこんなメッセージを発した。

「アジアカップ準々決勝、香川真司と日本代表はPK戦の末、5-6()でUAEに敗れました。シンジのPKはポストを叩きました。シンジ、顔を上げて。気をつけて帰っておいで」

※120分間で1-1、PK戦は4-5という結果をこう表現したもの

UAE戦後、なかなか顔を上げられなかった香川真司UAE戦後、なかなか顔を上げられなかった香川真司 ドイツ語と英語で綴られたその文章は温かく、逆にそれだけ、事態の深刻さを思わせた。

 前回王者の日本が準々決勝で敗退。日本がW杯に初出場した1998年より前の1996年以来となる非常事態はショッキングそのものだ。ドイツの各メディアは日本の敗退を、驚きを持って伝えている。

 各紙がこぞって取り上げているのが35対3というシュート数だ。おなじみのキッカー誌は「日本が押し込み香川やチームメイトは何度も何度も、枠までわずか数センチ、シュートを外し続けた。延長に入ってもその構図は変わらない。日本は押しに押しUAE はただ守るだけ。終わってみれば、シュート数は日本の35対3(!)。しかし、ゴールは生まれなかった」と、シュート数に"!" までつけて伝えている。

 そしてチーム敗退と同様、香川がリズムをつかみきれず、想像以上の不調に見舞われていることもまた衝撃的な事実だった。おそらくドルトムントの関係者にとっても、落胆せざるをえない出来だっただろう。ドルトムントの地元紙ルールナッハリヒテンのタイトルは「香川がPKを外した。日本敗退」というもので、記事中のトップ写真は、うつむきながら引き上げる香川だった。

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