ルイス・エンリケが率いる今季バルサの「3つの問題」 (2ページ目)

  • 山本美智子●取材・文 text by Yamamoto Michiko
  • photo by Nakashima Daisuke

2)アウェーでの得点力

 実は今シーズン、現在首位のレアル・マドリードと2位バルセロナのホームでのゴール数は同じ「24」だ。ところが、両者の差はアウェー戦で明白になる。レアル・マドリードが31ゴールを決めている一方で、バルサのアウェーゴール数は12。さらにバルサは、すでに2回、スコアレスの試合がある。

 攻撃に関しては、今シーズンも好調なメッシのみならず、2年目となり「適応猶予期間」の言い訳がきかなくなったネイマールに、今年加入したルイス・スアレス、さらにペドロやムニルもいる。前線の人材には事欠かないのだから、なぜアウェーで得点力が半分にまで落ちるのか。この先、得点力の向上は急務だろう。

 また、アウェーだからといって、大きく戦い方や内容が変わるのは、スペインリーグにおいては中小のクラブがやることだ。首位争いをする対戦相手との試合を除いて、それはビッグクラブのスタンダードとは言いづらい。直近のヘタフェ戦(0-0)のような戦いを続けることは許されない状況にある。

3)補強と育成

 バルセロナが今夏補強した選手のひとり、DFフェルメーレン(アーセナルから移籍)は以前の負傷が回復せず、手術することが決まって今季絶望。また、DFドウグラス(サンパウロから移籍)もまったくルイス・エンリケの構想に入っておらず、周囲の強化担当に対する不満の声は大きい。

 しかも現在、バルサは「海外からの未成年移籍規約違反」を理由に、FIFAから2016年まで選手補強を差し止められている。それだけに、下部組織からトップに上がってくる若手に期待したいところだが、下からあがってきたDFモントーヤは現状では構想外。シーズン開幕前の見込みと異なり、バルサBの選手はほとんどトップチームに引き上げられていない。育成は一朝一夕でできるものではないので、こればかりは早急な解決法はないだろう。

 就任当初、ルイス・エンリケは、バルサBの選手をもっと積極的にトップチームの練習に参加させようと呼び続けていたが、シーズンが進むにつれて徐々に招集回数は減った。スタメンで起用するほどには、生え抜きの若手に信頼をおいていないように見受けられる。

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