ブーイングに自滅?D・コスタはなぜスペインを選んだか

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

小宮良之のブラジル蹴球紀行(1)

 6月13日、サルバドール。アレーナ・フォンテ・ノバでは、低い声のブーイングが重く響いていた。ブラジル人でありながら、スペイン代表を選んだジエゴ・コスタに対し、人々はまるで容赦がなかった。

オランダ戦に先発、無得点に終わったジエゴ・コスタ(19番/スペイン)オランダ戦に先発、無得点に終わったジエゴ・コスタ(19番/スペイン)「セレソンの関係者は、過去に誰もジエゴ・コスタに興味を示さなかった。彼の意志はリスペクトされるべきだ。勇気ある決断だと思う」

 王様ペレは理解を示したが、ブラジル国民はもっと感情的だった。

「裏切り者」
「国を捨てた男」

 負の感情が頭上から降ってくるのに、平常心でいることは難しい。いつも戦闘意欲をむき出しにするジエゴ・コスタの顔に焦燥感が浮かび、愁いの影すら見えた。

「俺はブラジルを捨てたわけではない」

 ジエゴ・コスタはその心中を明かしている。

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