2014.06.14
ブーイングに自滅?D・コスタはなぜスペインを選んだか
- 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
- photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA
6月13日、サルバドール。アレーナ・フォンテ・ノバでは、低い声のブーイングが重く響いていた。ブラジル人でありながら、スペイン代表を選んだジエゴ・コスタに対し、人々はまるで容赦がなかった。
オランダ戦に先発、無得点に終わったジエゴ・コスタ(19番/スペイン)
「セレソンの関係者は、過去に誰もジエゴ・コスタに興味を示さなかった。彼の意志はリスペクトされるべきだ。勇気ある決断だと思う」
王様ペレは理解を示したが、ブラジル国民はもっと感情的だった。
「裏切り者」
「国を捨てた男」
負の感情が頭上から降ってくるのに、平常心でいることは難しい。いつも戦闘意欲をむき出しにするジエゴ・コスタの顔に焦燥感が浮かび、愁いの影すら見えた。
「俺はブラジルを捨てたわけではない」
ジエゴ・コスタはその心中を明かしている。