CL準々決勝でレアル先勝。最大の死角は「気の緩み」 (2ページ目)

  • 山本孔一●文 text by Yamamoto Koichi
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSU FOTOGRAFIA

 では、今のレアル・マドリードに死角はないのだろうか。

 昨季の対戦では、ドルトムントを軽視した雰囲気がどことなくあった。もちろん、それはベスト4に残ったバイエルン・ミュンヘン、バルセロナと比べた場合、ドルトムントに対してのほうが勝つ可能性が高かったからだ。だが結果は第1戦でレバンドフスキーに4得点を決められ完敗。第2戦で逆転劇を狙うものの、第1戦の代償はあまりに大きく、10度目のCL優勝の扉を叩く前に、チームは準決勝敗退を喫した。

 だが、今季はドルトムントに対して、CLを戦う強豪のひとつとして敬意を表し、油断は感じられない。試合後には「ドルトムントは第2戦、自分たちに罠を仕掛けてくるだろうし、彼らのカウンターは脅威だ。一番のメンバーを送り出す」と、アンチェロッティ監督も語っている。

 歴史的にドイツでの試合(26試合で2勝6引き分け)を苦手にしているのがレアル・マドリードだ。また、昨季の対ガラタサライ戦では、結果的に2戦合計で5対3(第1戦は3対0、第2戦は2対3)と順当勝ちをしたものの、第2戦では熱狂的なホームサポーターの後押しを受けたトルコのチームの前に後手後手に回り、その勢いに飲まれかけた。大きな得点差が開いた後の試合のパフォーマンスが悪いことは、過去を振り返れば何度もあった。さらに今季のレアル・マドリードは強豪チームのホームでは勝ち星を逃しているのも気がかりだ。

 レアル・マドリードはリーグ戦でアトレティコ・マドリード、バルセロナとの優勝争いを繰り広げており、セカンドレグの1週間後には国王杯決勝もある。選手の深層心理の中で、ケガや疲労が蓄積することを望まぬ気持ちが生まれ、チームとして集中力を切らす可能性は否定できない。

 アドバンテージを手にしたレアル・マドリードにとって最大の死角となるのは心の緩み。アンチェロッティがメンタルコンディションをどれだけ高められるかにかかっている。

 4月8日(現地時間)に行なわれる第2戦は消化試合ではない。準決勝進出を現実に決めた時、初めてレアル・マドリードのボルシア・ドルトムントへのリベンジが完了する。

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