優勝ユーベと2位ナポリ。セリエA今季の2強を分けたものは? (2ページ目)

  • 内海浩子●文 text by Uchiumi Hiroko
  • photo by Getty Images

 片やユーベは1月に少し苦しんだものの、ナポリのようなブラックアウトがなかっただけでなく、黒星をバネとしてジャンプアップした。コンテが2連覇のキーマッチとしてあげた試合に、前半戦のインテル戦がある。ここでユーベは完敗した。だがそれが良かった。とさえ彼は語っている。「あの敗戦で、より貪欲でなければならないと思い知らされた」とコンテは言う。ユーベは引き締まり、さらなる上を目指しだしたのだ。

 一方、マッザーリはユーベとの差として守備を上げている。ナポリはユーベに次いで失点の少ないチームである。だが、「ユーベが中盤や高い位置から人数をかけ激しいプレスをかけられるのは、彼らのCB(バルザーリ、ボヌッチ、キエッリーニ)が、いざという時には3対3で勝負できるからだ」とマッザーリは説明する。つまり1対1で勝負できるCBがいるユーベに対し、ナポリが確実に守らなければならない時は全体のラインを下げ、常にディフェンスで数的有利を保つ必要があったということだ。

 ユーベのDFは守るだけにとどまらない。コンテはCBからのビルドアップにこだわった。ボールが大きく蹴りだされるのは稀(まれ)で、ここが攻撃の起点となる。守備に難があったボヌッチをコンテが執ように使い続けた理由のひとつも、そのパスワーク能力にある。

 ユーベの揺るぎない強さの源は中盤にある。ピルロ、マルキージオ、ビダルのトリオに今季はポグバが加わり、さらに厚みを増した。特にビダルはコンスタントな活躍を見せただけでなく、終盤の大一番となったミラン戦やトリノダービーでゴールをあげ、多くのサポーターから今季のMVPにあげられている。

 しかし、もし今季1番のゴールをひとつあげるなら、それはカターニャ戦でのジャンニケッダ(チェゼーナ時代の長友のチームメイトでもある)のゴールだろう。3月10日の28節、引き分けに終わるかと思われた91分、彼が決めた決勝点で連覇がはっきりと見えた。あの時のアニエリ(会長)、マロッタ(GM)、ネドベドら首脳陣の喜びようはいつも以上だった。ユーベはこの白星により、同節、キエーボに敗れたナポリを完全に引き離したのである。

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