2013.05.13

あまりにも特別だったホーム最終戦。香川真司の胸に去来したもの

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by Getty Images

スウォンジー戦に先発フル出場、試合後にトロフィーを掲げる香川真司 マンチェスター・ユナイテッドの今季ホーム最終戦、スウォンジー戦は、4日前にアレックス・ファーガソン監督が今季限りでの引退を表明したことで、ただの1試合ではなくなった。否応無く、歴史的に大きな意味を持つ一戦になってしまった。何しろ27年間にわたり指揮官を務めてきたファーガソンがオールド・トラフォードに最後の勇姿を見せる一戦となったのだから。

 試合は独特の雰囲気に包まれながら進み、ユナイテッドが2-1で勝利を収めた。香川真司はこの大一番でフル出場。優勝を決定した試合以来3試合ぶりに先発復帰し、指揮官の引退に花を添えた。

 この試合で称えるべきは、1-0で前半を折り返すと、いったんは1-1に追いついたスウォンジーの意地だろう。リオ・ファーディナンドの勝ち越し点は後半43分のこと。こんなメモリアルゲームをまさか引き分けてしまうのかと、ヒヤヒヤさせる緊張感を味わわせてくれることになった。

 香川真司は4-4-2の右MFでプレイ。ファン・ペルシー、チチャリートの2トップと上手く絡みながらいくつもチャンスを演出した。前半33分には自ら左足でシュートを放つなど、リズムの良さも見せたが、得点に絡むことはできなかった。試合終了の笛が鳴ってもガッツポーズやはしゃぐ様子を見せることもなく、淡々と近くの相手選手と握手をかわしていた。

 試合後は、まずはファーガソンの引退セレモニーが行なわれた。スタジアムの大観衆に、マイクを握ったファーガソン自らが話しかけた。

「原稿は特にありません。思いつくままに話していきますが、このクラブの意味を語りたいと思う」

 スタジアムは静まり返り、耳を傾けた。

「まずはユナイテッドに感謝します。フロントやメディカルスタッフ、コーチ陣、選手、サポーターだけではなく、あなた方にお礼を言いたい。私の人生において、あなたたちは最高の経験を与えてくれた」