【イタリア】スペクタクル! ゼーマン色に染まり始めたローマ (2ページ目)

  • 内海浩子●文 text by Hiroko Uchiumi
  • photo by Getty Images

 だがゼーマンの発言から、デ・ロッシが監督のサッカーに納得しきれていない様子はうかがいとれた。納得しきれていないから与えられた役割をこなせないのか、与えられた役割が不服だから納得できないのか、ともかく彼を優れたウイングハーフと見るゼーマンの期待にデ・ロッシは応えきれなかった。

 その意味で、22日のミラン戦はひとつの転機になるかもしれない。この試合でゼーマンはデ・ロッシをセンターで使った。そしてデ・ロッシはゼーマンがセンターに課す「縦パスの多用と素早いパス回し」という役割をこなした上で、中盤の分厚いフィルターと攻撃参加という彼の得意分野を存分に披露した。

 互いに見せた譲歩の効果は絶大だった。ブラッドリーの質量高い協力とピャニッチの輝きも忘れてはならないが、デ・ロッシが中盤を征服していたと言っても過言ではない出来だった。「今季初めて彼の実力を出した」。ゼーマンの試合後の言葉は意味深長だ。

 デ・ロッシと違い迷いがなかったのがトッティだ。トッティははじめからゼーマンに従った。起用を巡ってデ・ロッシ、ピャニッチらチーム内に不平分子が出ていると噂されると「オレたちは全員、監督と共にある」とピシャリ。彼の言動を見ていると、昨季のデル・ピエロを思い出す。

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