【ドイツ】新天地で開幕デビュー。宇佐美貴史がようやく見つけた場所

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • 木場健蔵●写真 photo by Koba Kenzo

ボルシアMGとの開幕戦、後半23分から出場した宇佐美ボルシアMGとの開幕戦、後半23分から出場した宇佐美 新天地ホッフェンハイムで、ブンデスリーガで2度目の開幕戦を迎えた宇佐美貴史。ボルシアMGに1点を先制され、追いついた直後の68分、途中交代の一番手として左MFで投入されると、いくつかのチャンスに絡む。その後、ボルシアMGがゴール前でのFKを決め、今シーズンは黒星スタートとなった。それでも宇佐美はプレイのチャンスに恵まれたこともあり、ほっとしたような表情を見せた。

 あらためて振り返ると、宇佐美にとってのこの1年は不本意なことが多かったはずだ。昨シーズンは鳴り物入りで入団したはずのバイエルンで、ほとんど戦力として扱われずに終わった。

「ほっとかれているし、上が何を考えているかは分からないし......」と、漏らすこともあった。フロントとのコミュニケーション不足は必ずしもフロントだけのせいではなく、宇佐美側も何かしら働きかける必要はあっただろう。だが、最終的にはバイエルンというチームに溶け込むことはなく、去ることとなった。

 プレーシーズンにはホッフェンハイムに合流したと思ったら、今度は五輪代表入りが決定する。だが、五輪代表には招集直後に加わったわけではなく、壮行試合が終わり、チームが英国入りしてから合流することになった。同様のスケジュールで五輪代表に合流した酒井高徳とともに、ロンドン五輪では主力としてプレイすることはなかった。

 大会中、自身の状況を尋ねると、足早に去ろうとしながら「察して下さい」と口ごもり、目も合わせまいとした。さまざまな歯車が噛み合わず、気の毒な印象さえ残った。

 五輪代表が快進撃を続けたことで、今度はホッフェンハイムへの合流が遅れた。それでも、ブンデスリーガ開幕1週間前に行なわれたドイツ杯1回戦に引き続き、途中からではあるが確実に起用されている。

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