2012.06.26

【EURO】ウクライナ副首相「ファンはメディアにだまされたと言っている」

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki
  • photo by Getty Images

開催国ウクライナはイングランドに敗れ、グループリーグで敗退した【サイモン・クーパーのフットボール・オンライン】ウクライナにとってのユーロ(前編)

 ユーロ2012を共催する準備をしていたとき、ボリス・コレスニコフは心臓発作を起こした。無理もない。ウクライナの副首相であり、ユーロ2012も担当していた彼の仕事は、ストレスにあふれていた。

 UEFA(欧州サッカー連盟)からは、もっと準備を急がないと大会の開催権を取り上げると言われていた。欧米の先進諸国からは、ウクライナ政治の独裁的傾向に批判の声が上がっていた。しかもそれは、政府が昨年11月に、反対勢力の女性指導者ユリヤ・ティモシェンコを7年の禁固刑に処する前の話だ。

 だが今、首都キエフにある古いディナモ・スタジアムを臨むオフィスで、コレスニコフは上機嫌のようにみえる。ウクライナという若い国の「成人式」ともいえるユーロ2012は問題なく進んでいると、彼は思っている。とりわけウクライナ代表がグループリーグ初戦でスウェーデンに勝った後などは、最高の気分にひたることができた。何か問題があったら、それは前首相のティモシェンコやスポンサーのせいなのだし……。

 ユーロ2012でのこれまでの大きな問題(クラクフで聞こえたといわれる人種差別的なチャントや、ワルシャワでのロシア人サポーターの暴力行為など)は、いずれも共催相手のポーランドで起きている。