盟友が語る木村和司のFKのすごさ「世界でもトップクラスじゃない。PKより壁があるFKのほうが決める」 (2ページ目)
だからこそ、日産で木村のFKを見て、「コイツ、すごいわ」と純粋に驚いた。
木村のFKが、いかに特別なものだったのか。それは「日産は、和司のために"壁"を作ったんだから」という事実にも表われている。
現在では、FKの練習用の壁は珍しいものではない。その種類はさまざまだろうが、プラスチックなどで作られた人形が5、6体並んだ器材と言えば、最も一般的でわかりやすいだろう。
だが、「当時はどこのチームも持ってないような壁を、金属製だったか、木製だったか、(材料は)ちょっと覚えてないけど、日産はお金をかけて作った」という。
金田の記憶によれば、「壁の高さは180センチぐらいにそろえてあった」が、木村のFKにかかれば、「全然関係なかった。普通に決めとった。ワシらが蹴ったら絶対(壁に)当たるのに、『コイツ、どうやって越せるんや』と思って見ていた」。
高校時代から木村に負けず劣らずの技巧派で鳴らした金田でさえ、「ワシ? いや、無理無理。もう和司のキックを見とったら、ワシはできないと思った」と、張り合う気も起らなかった。
金田はその後も含め、多くのFKの名手たちに出会ってきた。だが、「世界でもトップクラスだったんじゃない? 和司のFKは」。それが贔屓目抜きでの評価である。
「アイツ、PKより壁があるFKのほうが決めますよ。いや、ホンマにそうやから(笑)。壁があると、GKはキックの瞬間が見えなかったり、軌道が見えなかったりする。だから、全部決めよったからね。マジですごかったよ、和司のFKは。メヒコの時(1985年のメキシコワールドカップアジア最終予選)みたいに、距離があっても強いキックで決めるし、ペナに近いところで距離がなくても、(回転をかけて)落としよったからね。どうやって蹴るんかなって思ってたよ」
金田は実戦のみならず、練習を通じても数多くのスーパーFKを見てきただけに、特に印象に残っている"木村の1本"を挙げてもらおうにも、「う~ん」と言って、首をひねる。
「FKもたくさん決めてきてるんで、ワシがちょっと覚えきれてないっていうのがあるし......。JSL(日本リーグ)の時には、1試合で(FKを)何本か決めたゲームだってあるはず」
だが、現在では後進の指導に力を入れている金田は、木村のFKのすごさを間近で見てきたからこそ、その名手が病に倒れた今、悔やむ思いもある。
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