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【Jリーグ】 ドゥンガはなぜレベルの低い日本に来たのか 「発展途上だと言うことは否定しません。けれど......」 (2ページ目)

  • 戸塚 啓●取材・文 text by Totsuka Kei

【勝って批判されたほうがまし】

 チームが初めてJリーグの年間王者に輝いた1997年のシーズンを受けて、ドゥンガに話を聞いた。ブラジル代表のキャプテンは、質問者の目を見ながら丁寧に答えていく。誠実な人柄がうかがえた。

「何かミスが起こった場面で、私はそれを見過ごすことができない性格なんですよ。なぜって、同じミスが起こったらチームが困るじゃないですか。その選手を攻撃しているわけではなく、ミスを放置せずにすぐに修正することによって、チームのパフォーマンスが上がると信じています」

 ドゥンガの言葉を聞いていて、「衝突からの結束」という言葉が頭に浮かんだ。彼は「そう、そういうことですよ」と大きくうなずいた。

「私の言動によって、チーム内の雰囲気が悪くなるかもしれません。いや、実際になっていたのでしょう。でも、私はそれを恐れません。『これぐらいでいいや』とか『何となく』という姿勢では、求める成果は得られないと思うのです。

 相手にとってはキツい言葉だとしても、それが私の心の奥底からのものであれば、その選手の人格を否定するものではないということが伝わるはずです。そして、一度ぶつかり合ったあとの結束は、それまでよりもはるかに強固になる。ともに苦しみを乗り越えられるのです」

 オフ・ザ・ピッチでは穏やかな表情を浮かべる彼が、ここまで厳しい姿勢を貫くのはなぜか。「プロフェッショナルだから」とか「負けず嫌いだから」という説明では、明らかに足りないだろう。

 通訳の言葉を聞いたドゥンガは、「私はインテルナシオナルでプロになったのですが」と話した。質問の答えがどこへ辿り着くのか、想像をしながら聞いていく。

「インテルナシオナルからコリンチャンス、サントス、ヴァスコ・ダ・ガマと渡り歩きましたが、どのクラブでもメディアとファンからのプレッシャーは猛烈でした。ブラジル代表になると、それがさらにすごくなる。

 負けたらもう、徹底的に叩かれる。引分けでもまったく評価されない。勝っても1-0や2-0では『大したプレーはしていない』と言われる。4-0や5-0で勝つと、今度は『相手が弱すぎた』と言われる。1994年のワールドカップで優勝した時も、『ブラジルらしくない』と批判されましたから。

 自分と同じポジションにいい選手がいれば、ファンは『ドゥンガを外してその選手を使え』と言う。そういうなかでプレーしていれば、誰だって自分に厳しくなる。チームメイトにも要求するようになる。勝っても負けても批判されるなら、勝って批判されたほうがまだ気持ちがいいですし」

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