【Jリーグ】柏レイソルのスタイルはついに確立されるか 「走る日立」の激動の歴史を振り返る (5ページ目)
【スタイルは確立されるか】
「走る日立」から「大学サッカーのスター軍団」といったように、年代によってイメージがころころ変わり、成績的にも上下動が激しかったJSL時代の日立。
柏レイソルとしてJリーグ入りを果たしてからも、浮き沈みは激しかった。
そういう意味で、2011年にJ1昇格(復帰)して即優勝したのは「いかにも柏らしい」と言うことができるかもしれない。
Jリーグ参入初期にはブラジルのカレカとか、ブルガリアのフリスト・ストイチコフ、韓国の洪明甫(ホン・ミョンボ)といったスター選手を入団させた時代もあった。
また、柏は下部組織が充実し、明神智和や酒井宏樹、中山雄太、古賀太陽、細谷真大といった日本代表クラスの選手を輩出もした。アカデミーからは吉田達磨や下平隆宏といった優れた指導者も生まれた。
だが、そうした流れも長続きしない。せっかく下部組織から育った選手たちも次々と流出してしまうし、生え抜きの指導者もトップチーム監督の座に就くと結果を求められて短期間で解任され、流出してしまった......。もったいないことだ。
今シーズンの柏はリカルド・ロドリゲス監督の下で、昨年までとはまったくイメージの違う、組織的なポゼッションサッカーでJ1優勝を目指しているのである。
今シーズンのタイトルの行方がどのような結果になったとしても、せっかく"いい流れ"ができたのだ。それを定着させて「レイソルのスタイル」として確立させていってほしいものである。
著者プロフィール
後藤健生 (ごとう・たけお)
1952年、東京都生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。1964年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、1974年西ドイツW杯以来ワールドカップはすべて現地観戦。カタール大会では29試合を観戦した。2025年、生涯観戦試合数は7500試合を超えた。主な著書に『日本サッカー史――日本代表の90年』(2007年、双葉社)、『国立競技場の100年――明治神宮外苑から見る日本の近代スポーツ』(2013年、ミネルヴァ書房)、『森保ジャパン 世界で勝つための条件―日本代表監督論』(2019年、NHK出版新書)など。
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