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真夏の高校サッカーインターハイに大会廃止の動き 猛暑に揺れる現場と全国大会の意義を考える (2ページ目)

  • 森田将義●取材・文 text by Morita Masayoshi

【トップレベルの基準を感じられる舞台】

 一方で、今年のインターハイは全国大会が持つ意義をあらためて感じる大会となった。

 代表的な例が4年ぶり4回目の出場を果たした高知中央高校だ。初戦となった2回戦で対戦したのは前年度の高校サッカー選手権王者である前橋育英高校。日本一を経験した選手が数多く残り、今大会の優勝候補に挙げられていた好チームだ。「正直、二桁失点を覚悟していた」と笑うのは近藤健一朗監督で、実際、前半終了間際に先制点を許した。

 しかし、後半は粘り強い守備で2失点目を回避。すると、試合終了間際の連続ゴールで逆転勝利をおさめた。

 続く3回戦は大津高校に0-7と大敗し、快進撃は続かなかったが、全国でもトップクラスの2チームと対戦した経験は大きい。「全国の基準を学べた。いつも我々が『この基準ではいけない』と言っていても伝わらない部分を、選手は実際に見て感じることができた。ここから冬の選手権に向けて、どれだけ追いつけるか」(近藤監督)。

 高校サッカーの場合、年間を通して戦うリーグ戦のカテゴリーが違う県外チームと対戦する機会は夏のインターハイと冬の選手権しかない。高知県1部のリーグに所属する高知中央とU-18年代最高峰のプレミアリーグに所属する前橋育英や大津とは、全国大会でしか戦う機会はないわけだ。

 強豪校に練習試合を申し込んでも基本的にはリーグで同カテゴリーのチームが当てられるため、トップチームが出てくる機会は少ない。昨年、高知中央が前橋育英と練習試合を行なった際も、県リーグを戦う下のカテゴリーのメンバーが相手だったという。

「前橋育英と大津に共通しているのは、ボールを失わないうまさ。特に大津さんはボールを出したあとにみんなが止まっていない。みんなが動いているから、捕まえることができない。鬼ごっこみたいだった。1日や2日で埋められる差ではない」(近藤監督)

 しかし、全国トップクラスの基準を感じた選手たちの成長は加速していくだろう。

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