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「世界中に知ってもらったほうがいい」と浦和レッズのグスタフソンが感じる日本のサポーターの振る舞い (2ページ目)

  • 井川洋一●取材・文 text by Igawa Yoichi

【スペインのフットボールに強い影響を受けた】

 現在30歳にして、自らが慣れ親しんだものとは異なるフットボールの風景を知り、グスタフソンは嬉しそうだ。スウェーデン第二の都市イエテボリの郊外にある海沿いの街で生まれた彼は、物心ついた時からフットボールなど、スポーツを楽しんできた。

 父は元プロフットボーラーで元コーチ、母はハンドボールの選手だった。"12分だけ"年上の双子の弟シモン、2歳年下のエリアスと、いつもボールを追いかけていたという。グスタフソンは続ける。

「フットボールをはじめとするスポーツは、うちの家に息づいているものだ。少年時代はアイスホッケーもやっていたんだけど、15歳の時に学業もあってひとつに絞ることになり、フットボールを選択した」

 当時憧れていたのは、スペインのバレンシアとその選手たちだったという。

「これといった理由はないんだけど、初めて観た時にバレンシアを好きになったんだ。ダビド・ビジャ、ダビド・シルバ、ルベン・バラハといった魅力的な選手がいたからだと思う。本拠地メスタージャで観戦したこともあるよ。すばらしい街とスタジアムだった。最大の強敵は、(リオネル・)メッシ、シャビ、(アンドレス・)イニエスタらをペップ(・グアルディオラ)が統率したバルセロナだった。あの頃のスペインのフットボールに、僕は一番強い影響を受けたのだと思う」

 コーチの父の指導を受け、時にはスペインで本場を体感し、早くから才能を育んでいった。そして10代のうちにプロ契約を結び、学校に行きながら練習に励んだ頃もあったという。

「小さな頃からプロ選手になりたくて、それ以外の職業について考えたこともなかった。すんなりプロ契約できた時は嬉しかったよ。その頃は自信に満ち溢れていて、とにかく最高のレベルに到達したいと思っていた」

――君は夢の中を生きている。

「確かに。でもこうして年齢を重ね、自分が歩んできた道のりを振り返ると、なんだか不思議な感覚だね。イタリアに移った時、初めて実家を出てひとり暮らしをし、生活するということを理解していった。人間として大きく成長できた頃だね。そして今、こうして日本にいる。これは旅路というよりもジェットコースターで、乗っている僕は振り落とされないように必死に掴まっている感じだよ(笑)」

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