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FC町田ゼルビアのドレシェヴィッチが考える日本人選手が優れている点 手を焼いたアタッカーは? (2ページ目)

  • 井川洋一●取材・文 text by Igawa Yoichi

【日本人選手が抜群に優れている点】

「新しいチームメイトのレベルが想像以上に高くて、びっくりしたよ。動きが俊敏で判断は速くて正確、優れたテクニックも備えている。シーズンが始まると、それは仲間だけではなく相手も同じだということがわかった。全体的なレベルは、トルコのリーグよりもずっと高いと思う。最初は慣れるまでに時間がかかったよ」

 なかでも一番の衝撃だったのは、日本人選手の規律だという。ドレシェヴィッチは続ける。

「規律に関しては、日本人選手は抜群に優れていると思う。他国の選手とは比較にならないほどに。ここの選手たちは、黙々とハードワークし、不平を言う人はいない。ヨーロッパでは、不満をこぼしたり、文句を言ったり、言い争いをしたりする選手もいるからね」

 ドレシェヴィッチが驚いたのは、日本のサッカーだけではない。人々や文化にも、いい意味でサプライズがあったという。

「日本のことは安全で清潔なんだろうと思っていたけど、実際に生活してみると、想像以上だったね。選手と同じく、社会には規律があり、物事は的確に運営されている。たとえば道路は交通量が多いのに整然としていて、事故は少なそうだ。僕が日本に来る前に住んでいたトルコでは、2車線のところを4列で走っていたりすることもあったくらい。それ以外にも、日本では電車やレストランなどでも、すべてがスムーズに回っている。きっと、日本人の他者を敬うところが、こうした社会を実現させているんだと思う。

 また人々はとても親切だよね。道に迷った時には、誰かが必ず助けてくれ、一緒に付き添って途中まで歩いてくれたこともあった」

 ただそれは、ドレシェヴィッチにとって珍しい体験だったようだ。何か裏があるのではないかと、訝ってしまうほどに。

「そんな風にいつも人によくしてもらったことはなかったので、最初は少し疑ってしまったよ。演技をしているのではないかなとか、本当は何か別の意図があるのではないかなとか。でもじきに、それが多くの日本人に備わっている親切心と他者への敬意だとわかった。妻とふたりの小さな子どもがいるので、優しい人々が多い安全な国で生活できて本当によかった」

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