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ヴィッセル神戸は来季Jリーグ3連覇できるか? 今季優勝をもぎ取った力を福田正博が分析 (2ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro

【優勝を逃した広島と町田の課題】

 2位に終わった広島は、終盤の3連敗が痛かった。0-3で敗れた3連敗目の浦和レッズ戦は、象徴的なゲーム展開。立ち上がりから前掛かりにいってチャンスをつくり出して攻め込むものの、ゴールを決められずに逆襲を受けて失点。そこから反撃に出てはまた失点と、流れを引き込めずに敗れ、優勝から遠ざかってしまった。

 前半戦は引き分けが多く勝ち点を伸ばせず、6月にチームの柱だったMF川村拓夢(ザルツブルク)、8月に得点源だったFW大橋祐紀(ブラックバーン)が移籍。それでも苦しい状況のなかでクラブが素早くピンポイントに補強した選手たちがしっかり機能し、町田の失速もあって一時は首位に立った。それだけに3連敗がなければと思うが、あの3連敗こそが優勝への重圧だったのだろう。

 広島は今年オープンした新スタジアムのこともあり、優勝してもらいたいと思っていたので残念でならない。広島の中心地に建てられたサッカー専用スタジアムという、最高の環境で戦えるようになっただけに、優勝してサポーターや広島の人たちとともに喜びを分かち合ってほしかった。来季はファジアーノ岡山がJ1に昇格する。中国地方のサッカー熱がさらに高まることを期待している。

 開幕からJ1を牽引した町田は3位となったが、リーグをもっとも盛り上げた存在だったのは間違いない。J1昇格1年目で最後まで優勝争いをしたことは、来季への自信にしていいし、監督、選手、クラブスタッフ、サポーターたちにはこの経験を来季につなげてもらいたいと思う。

 その来季に向けて言えば、フィジカル面やコンディショニングに課題があるように思う。特に夏場からはチーム全体の強度が落ちたように感じた。故障者が多く出たり、J1という1段上のステージでの戦いという影響もあっただろう。ただ、J2だった昨シーズンも夏場に調子を崩していたのは気になるところだし、改善の余地があると思う。

 黒田剛監督のサッカーは、J1最少失点が物語るように守備の強度が生命線になっている。ただ、夏場以降はパッと見ただけでは選手たちがすべきことをしているように映っても、各選手の強度がほんの少し緩み、それがチーム全体で大きな綻びになって失点につながっていた。得点力が決して高いとは言えないチームだけに、来季は勝負どころでも緩むことのない守備を構築し、最後まで優勝争いの主役を張ってもらいたい。

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