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2024年のJリーグを沸かせたのは誰か? 活躍が目立った選手を福田正博が評価 (2ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro

【驚きを与えた鹿島のふたり】

 知念は今季、ランコ・ポポヴィッチ前監督のもとでボランチにコンバートされた。川崎フロンターレ時代はFWでプレーしていただけに大きな驚きを与えたが、ボランチになったことで彼の持ち味やプレースタイルが変わったわけではない。

 FW時代から体を張るプレーを得意としていたが、それをボランチで発揮したということだ。相手のボールホルダーに激しくチェイスし、ボールを奪えば前に出ていって味方をサポートする。鹿島ではパートナーの佐野海舟(現マインツ)や柴崎岳が、知念の持ち味と足りない部分を理解してサポートしたのがよかった。これが川崎のようにパスを散らすスタイルのチームだったら、知念のボランチは成立しなかったかもしれない。

 ただ、これまでチームの中心として試合に出てきたわけではない知念にとって、新しいチームで新しいポジションに挑戦し、つねに試合に出られたことがモチベーションになったのは間違いない。来季はどんなプレーを見せてくれるのか興味深い。

 鹿島からはもうひとり、濃野がベストイレブンに選出された。関西学院大からプロ入りしたルーキーは右サイドバックながら9得点。チーム得点王の鈴木優磨の15ゴールに次ぐ数字を残した。大学時代にポジションを下げたというが、大津高時代にFWでプレーしていた片鱗を見せてくれた。今シーズン最大の驚きだった濃野が、今後どこまで成長を遂げるかは楽しみなところだ。

 柏のマテウス・サヴィオは、今季リーグ戦全38試合にスタメン出場して9得点7アシスト。攻撃だけではなく、守備でもチームのために貢献できる。柏サポーターには怒られてしまうが、優勝を狙うクラブなら触手を伸ばしたくなる選手なのは間違いない。今オフの動向に注視したい。

 9年ぶりにベストイレブンを受賞した宇佐美貴史は、今季はリーグ35試合12得点、8アシストをマークした。テクニックを存分に駆使するようなプレーは抑え、少ないタッチ数のなかで勝負を決める仕事に徹した。若い頃のような派手なプレーは見られないが、来年5月で33歳と円熟味を増す宇佐美は来季もさらに輝くことだろう。

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