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天皇杯優勝のヴィッセル神戸 2季連続のタイトル奪取で「常勝軍団」としての地位は築けたか (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Sportiva

 G大阪との決勝を見ても、内容的にはむしろ相手のほうが優勢に試合を進めていたが、だからこそ神戸の勝負強さが際立ったと言える試合だった。

 酒井は、「正直、今日の(神戸の)サッカーは、プレーしていた選手が誰も満足していなかったし、ハーフタイム(の選手同士の話)も『全然うまくいってない』ってなっていた」と認めながらも、こう続ける。

「でも、それでネガティブな方向に走るのではなく、それでもやることはしっかりやる、失点はしない、切り替えを早くする、前にしっかり進むというチームのベースを発揮することが、このタイトルを獲れるか、獲れないかのところに関わってくる。僕らはその姿勢を一瞬たりとも崩さず、貫き通したことが勝因につながったのかなと思う」

 この日、神戸が大舞台で見せたのは、酒井の表現を借りれば、「勝ったほうが勝ちだから、最後勝てばいいんだという戦い方」だった。

 酒井曰く、「今日特に思ったのは、決勝では最高のパフォーマンスをして、最高なサッカーをしないと勝てない、みたいなイメージがちょっとつきがち」だが、「きれいなサッカーをするだけが勝てるサッカーではない。それもできる(最高のサッカーでなくても勝てる)という強さを、自分たちは今日見せられたかなと思う」。

 酒井が言う強さとは、世界各国の強豪と呼ばれるビッグクラブであれば、必ずと言っていいほど身につけているものだろう。その意味でも、神戸はJリーグを代表する強豪クラブへの道を歩み始めた、と言ってもいいのかもしれない。

 しかしながら、神戸のタイトル獲得は、"たかが2年連続"にすぎない。10年、20年とタイトルを獲得し続ける、あるいは、タイトル争いに加わり続けてこその常勝軍団なのである。

 神戸を率いる吉田孝行監督自身が、「やはりタイトルを獲り続けなきゃいけないなと思うし、それはクラブとしてもそうだが、監督としてもタイトルの獲れる監督を目指してやってきているので、まだまだ向上心を持って、これからもやっていきたい」と話しているとおりだ。

 だが、神戸に限らずJリーグ全体を見渡せば、若い選手を中心に海外への人材流出が加速している。せっかく若いタレントがチームの中心選手に育ったとしても、その選手が長くクラブのタイトル獲得に貢献してくれる可能性は極めて低いのが現状だ。

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