稲本潤一&今野泰幸――日本を代表するボランチふたりはなぜ、地域リーグの南葛SC入りを決めたのか (3ページ目)

  • 高村美砂●取材・構成 text by Takamura Misa

稲本 気を遣ってはないはずやけどな。でも日本代表に選ばれていないと、その可能性すらないと考えたら、当然必要とされる理由はあったはずだし。もちろん、南葛の若い選手にもいい選手はいっぱいいるけど、経験値という面では間違いなく足りていないからこそ、今ちゃんの存在は心強い。

――南葛SCでのシーズンも3シーズン目に入りましたが、当面の目標であるJFL昇格はここまで果たせていません。あらためて、このステージを戦う難しさをどういったところに感じていますか。

稲本 もう、めちゃめちゃ難しいです。Jリーグの難しさとはまったく異なります。

今野 わかる。本当に難しい。

稲本 正直、加入にあたって岩本さんに話を伺って、僕なりにいろんなことを想像してきたつもりやけど、このカテゴリーを勝ち抜く難しさは想像を遥かに超えてきた。その理由はいくつかあるんですけど、まずは環境面かな、と。

 そこは、他のチームも同じやろうって言われちゃうと思いますけど、試合ごとに芝生のグラウンドもあれば、人工芝のグラウンドもあって、人工芝の質によっても全然、感じ方も違うし、そのつど、そこに合わせてサッカーをしなければいけない難しさは間違いなくある。加えて、アウェー戦は特に、遠征先で過ごす環境やそこへの移動時間、行き方を含め、環境に左右されてサッカーの質が変わる部分も大いにありますしね。

 あとは、"vs南葛"への他のチームの特別な対抗心、モチベーションもすごく感じる。今年に関して言えば、新監督に就任した風間八宏さんのサッカー論がYouTubeなどでもめちゃめちゃ流れている分、試合を追うごとにより対策をされやすくなっている気もします。

――JFL昇格までの道のりも関東リーグで優勝すればいい、というわけでもない。

稲本 そこは本当に大変です。実際、JFLに昇格するためには単にリーグ戦で優勝するだけではなく、全国地域サッカーチャンピオンズリーグ(以下、地域CL)で1、2位にならなくちゃいけない。しかも、その地域CLも予選リーグと決勝リーグを、中1~2日で戦いながら勝ち上がらないといけない。

今野 全国社会人サッカー選手権(以下、全社)で3位に入賞して、同じく地域CLに出場して1、2位を獲るって方法もありますけど、今年は関東予選の準決勝で負けてしまいましたしね。今年で3シーズン目ですけど、もはやどうやって昇格すればいいのか、わかんない!

稲本 言いきった! 今ちゃん、今、迷走してるしな。

今野 そう。絶賛、迷走中です(笑)。正直、何がベストなのか、わかんなくなってきた部分もあります。

稲本 これだけプロの世界で勝負してきた僕が言うのもなんやけど、運の要素もめちゃめちゃある気もする。

今野 まさに! だから、より迷走しちゃうんだと思います。

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