J1鹿島・知念慶がボランチで才能開花! FWからの「ガチのコンバート」でデュエル王を独走中

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke

知念慶(鹿島アントラーズ)インタビュー前編

 2024シーズン、Jリーグのデュエル勝利数で2位を大きく引き離す1位に立っているのが、鹿島アントラーズの知念慶(29歳)だ。

 今季途中からJリーグ公式サイトのデータページがリニューアルされ、詳細な『PLAYER STATS』(選手スタッツ)が公開されるようになった。走行距離やスプリント回数などともに目がいくのが、デュエル勝利数である。

 第29節を終えて、ダントツともいえる104回の勝利数(2位は岡村大八の85回)を誇る知念は、今季より鹿島を率いるランコ・ポポヴィッチ監督によって、FWからボランチへとコンバートされた。ボランチ転向の経緯に加えて、ボランチとしてどのような成長曲線を描いているのだろうか。Jリーグデュエル王の現在地に迫る。

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ボランチで新たな能力を覚醒させた知念慶 photo by Koreeda Ukyoボランチで新たな能力を覚醒させた知念慶 photo by Koreeda Ukyoこの記事に関連する写真を見る── 知念選手にとってアントラーズに加入して2年目の今季、ポポヴィッチ監督が就任しました。どのような心境でシーズンを迎えたのでしょうか?

「新しい監督のもとでスタートするということで、自分もどこでチャンスをもらえるかはわからない。それが楽しみでもありました。

 ただ、シーズン開幕前のキャンプではFWではなくトップ下でプレーしていたんです。紅白戦ではいわゆるサブ組で、当時はカキ(垣田裕暉/現:柏レイソル)と組むことが多かった。その状況から、FWとしてはおそらく4番手。チーム内での序列は低く、厳しいスタートになったなと思っていました」

── そうした状況で、ボランチにコンバートされる転機があった。

「キャンプ中に岳くん(柴崎岳)が負傷して、練習試合でFWとして出場する予定だったのが、急遽、ボランチでプレーすることになりました。最初はチームメイトも笑っていたくらいなので、自分自身も『さすがに俺のボランチはないでしょ』って思っていました。

 ただ、その後の練習でも、ほかにボランチができそうな選手はいるのに、監督はその選手たちをボランチで起用するのではなく、自分を起用しました」

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著者プロフィール

  • 原田大輔

    原田大輔 (はらだ・だいすけ)

    スポーツライター。1977年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌『ワールドサッカーグラフィック』の編集長を務めたのち独立。Jリーグを中心に取材し、各クラブのオフィシャルメディアにも寄稿している。主な著書に『愛されて、勝つ 川崎フロンターレ「365日まちクラブ」の作り方』(小学館クリエイティブ)など。

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