横浜F・マリノス、キューウェル監督解任の理由 「アタッキングフットボール」は消えた (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

 そもそも、なぜ解任したのか、よりも、なぜキューウェルを招聘したか、のほうがミステリーだ。 

 キューウェルの電撃解任に関し、「時間を与えるべきだった」という意見もあるだろう。結果だけを見れば、わからないではない。しかし、ポステコグルーの1年目は、負け続けながらも、「パズルのピースがはまったら、どんな絵が見られるのか」という期待や予感があった。それは選手たち自身が誰よりも肌で感じていたはずで、だからこそ栄光につながったのだ。

 キューウェルのラストマッチになった鹿島戦、横浜FMは攻守にノッキングを起こしていた。バックラインからボールをつなげることに苦労し、むやみに蹴り込むだけで、すぐに回収され、再び攻撃を浴びる。みじめな姿だった。得点力のある選手がいるだけに、相手がミスを犯す都度、得点を重ねられたが、アタッキングフットボールとはズレていた。

 次節は7月20日、首位FC町田ゼルビア戦。横浜FMはジョン・ハッチンソンコーチが暫定監督で指揮をとる。選手たちは反撃を見せられるか。正式監督を招聘する動きもあるという。

著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

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