サッカー選手を値付けする「トランスファーマルクト」の中の人に聞く どのように価値を決めるのか (2ページ目)

  • 井川洋一●取材・文 text by Igawa Yoichi

【日本とアジアに驚くほど精通】

――まずはそれぞれに、現在の担当を始めた経緯を教えてください。

トビアス 以前から日本に興味があり、旅行に行った時はJリーグの試合も現地で観戦した。その後、2010年に香川真司がボルシア・ドルトムントにやってきて、ユルゲン・クロップ監督のもとで大活躍した彼の経歴や過去の記録などを調べ始めたんだ。そしてトランスファーマルクトのフォーラムを見つけて、そこに日本サッカーがテーマのものを立ち上げ、関わっていくようになり、2014年にJ3ができた時にデータスカウトとしてボランティアを始めた。

シュテファン 子どもの頃からフットボールが好きで、今年でレフェリーを始めて24年になる。同時に漫画など、日本のカルチャーもずっと好きで、見てもらえるとわかるように、アルビレックス新潟のファンだよ(この日はオレンジ色のホームシャツを着用)。データや文献にも興味があって、『Wikipedia』のボランティアもしていて、2016年の夏にここにも同じ形で参加するようになったんだ。

ティベリウス 私はノルウェーにルーツを持つドイツ人で、元から外国に興味があり、特にアジアが好きなんだ。地理や異文化、そしてフットボールとそのデータが、子どもの頃から大好きだった。私も最初はデータスカウトとしてボランティアで参加し、その後にスタッフとして今のポジションに迎えてもらいました。

――ドイツにはブンデスリーガやチャンピオンズリーグといったトップレベルのフットボールがありますが、日本やアジアにより高い興味を持ったのはなぜですか?

トビアス 自分はサンフレッチェ広島のファンで、日本のフットボールをもっと知りたいと思い、歴史や文化なども調べるようになり、知れば知るほど、欧州のフットボールがつまらなくなってきたんだ。特に今の欧州フットボールは商業的にすぎるし、色々と飽和状態にあり、大会も試合数も多すぎる。そんななか、Jリーグを見ると、新鮮な気持ちになるんだ。

シュテファン 同様です。

ティベリウス 私はウィンタースポーツも好きで、2018年の平昌オリンピックを見て、アジアに惹かれた。ただそれ以上の動機は、説明するのは難しい。おそらくただただ、アジアとそのフットボールにのめり込んでいったということだと思います。

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