高校サッカー選手権でPK戦が例年以上に多い「運ではなく実力」と臨んだ各校の対策は? (2ページ目)

  • 森田将義●取材・文 text by Morita Masayoshi

【「PK職人」と言えるGKがいる】

 選手権で勝ち上がるため、多くのチームにPK職人と言えるGKがいる。彼らの存在はキッカーに勇気を与えているのも確かだ。

 勝負強さに定評のある青森山田(青森県)は12月21日に上京してから、毎日練習の最後にPK戦の練習をしているという。ゴールに立ちはだかるのは189cmの正守護神GK鈴木将永(3年)。昨年度の選手権でも"PK要員"として活躍し、今大会も初戦の飯塚戦で読みを的中させている。

 彼からゴールネットを揺らすのは、味方といえども簡単ではない。主将のDF山本虎(3年)はこう話す。

「将永は練習でもよく止めている。将永相手に決められるなら、どの相手でも決められるだろうなと思っている。試合でも将永は止めてくれるという安心感があるので、PK戦にはすごく自信があります」

 2回戦で四日市中央工(三重県)に勝利した星稜(石川県)は、後半40分にPK戦を見据えて投入したGK佐藤竣基(3年)の活躍によって勝利している。

 佐藤は高校に入ってからはケガが多く、満足に出場機会を得られなかったが、「PKは小学生の頃から止めていて、自信があった。試合中に相手選手の特徴を見て、飛ぶ方向を決めている」と適性は十分。夏休みのフェスティバル大会でもPKへの強さを発揮していた。

 県予選ではコーチ陣から「準決勝と決勝はPKがあるから」と声をかけられて準備してきたが、準決勝で予言が的中。見事セービングを成功させ、勝利に導いている。この試合ではDF倉畑鉄将(3年)が「竣基はセービングがうまくて、毎回PKになったら出てくる。いつも結果を残してくれるので助かっています」と口にしていたように、PK戦になれば勝てるという自信はキッカーの落ち着きにつながっている。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る