名古屋グランパスが確立した勝利の方程式 ユンカー加入で自慢の「トリデンテ」がかなりいい (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Hiroki Watanabe/Getty Images

 前半41分に生まれた先制点にしても、「ほぼほぼキャスパー個人の力」(長谷川監督)で生まれたものだった。

 FWマテウス・カストロが右サイドからカットインしてくるも、相手守備に阻まれ、ボールはルーズな状態。必ずしも名古屋が思ったようにつないでいたわけではなかった。

 だが、バタついたプレーが続くなかでも、マテウスからの少しズレたパスをファーストタッチで完璧にコントロールしたユンカーは、柔らかなシュートをゴール左スミに流し込む。

「うまい!」――見る者すべてが、思わずそんな言葉を口にしてしまいそうなほど、一瞬の判断と優れた技術が融合して生まれた巧みなゴールだった。

 そして後半に入ると、1点のリードを奪った名古屋のカウンターが抜群の威力を発揮。もちろん、そこでも中心的役割を果たしていたのはユンカーである。

 後半52分には、右サイドのハーフライン手前でパスを受けると、ドリブルでボールを運び、左サイドを駆け上がってきた永井へラストパスを供給。

 これを永井が落ちついて決め、2-0とリードを広げると、後半70分にはマテウスのスルーパスで右サイドを抜け出したMF森下龍矢の動きに合わせ、ユンカーはトップスピードでゴール前へ疾走。

 結果、相手DFが懸命に戻るも森下のクロスをクリアしきれず、オウンゴールとなって3点目が決まった。

「(ユンカーが)一個ドリブルで運んで、時間を作ってくれる間にサポートにいける」(永井)

「自分たちが狙っていたカウンターができた」(ユンカー)

 当人たちも自画自賛するほどに、後半の名古屋の攻撃には迫力があった。これまでの試合でなかなか2点目が取れなかったことが、まるでウソのようだ。

 とはいえ、過去の試合を振り返っても、追加点のチャンスがなかったわけではない。

 とりわけ、永井、マテウスという昨季の2トップに、今季新たにユンカーを加えた"トリデンテ"が繰り出すカウンターは迫力十分で、今後の対戦相手にとっての脅威となることは容易に予想がついた。

 しかも、名古屋自慢のディフェンスは、今季も健在。ここまでの4試合で総失点1はJ1最少の数字である。

 長谷川監督が「(サッカーの)ベースとなるところでしっかり戦えたことが大きい」と語ったように、粘り強く守っていれば、自慢の3トップがどこかで点を取ってくれる。そんな勝利の方程式が自信となり、目指す戦い方がチーム全体に浸透してきているように見える。

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