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川崎フロンターレが8位ともたついているのはなぜか ふたつのポジションの「揺れ」に現状は集約されている (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 その様式は、この日も川崎を苦しめている。

「立ち上がりから、選手たちがやるべきことを理解してプレーしてくれました。相手のストロングを消す、ボールを奪いにいくというところを全面に出して、入りとしては、いい試合だったと思います」(湘南・山口智監督)

 序盤、湘南はペースを握った。鳥栖戦のように相手のミスから先制し、引き回すことはできず、15分をすぎると主導権を失った。しかし、腰は引けていない。町野修斗と大橋祐紀のツートップはリーグ屈指の得点力を有しており、チーム全体がカウンターを信じられている。牙を持っていることに、今シーズンの湘南の強さはあるだろう。

 後半19分、川崎がジェジエウの負傷交代でバックラインがバタついている間に、湘南は右サイドから波状攻撃を仕掛けた。押し込んだところ、クロスをエリア内で受けた平岡大陽がカットインから右足でゴールに蹴り込んでいる。果断さのおかげか、シュートコースが目の前に広がった形だ。

 湘南はシンプルだが練度が高い。戦力的な浮き沈みはあっても、残留争いは回避できるのではないか。もっとも勝負はこれから。未だ34分の3にすぎない。

著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

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