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サッカーマニア・平畠啓史が注目するJ2の5クラブ。各チームの特徴や面白ポイントを語った (5ページ目)

  • 池田タツ●取材・文 text by Ikeda Tatsu
  • photo by Getty Images

【いわきFCはフィジカル以外も見どころ満載】

 昨年J3でダントツだったいわきFC。強すぎました(笑)。そのいわきがどれくらいJ2で通用するのか、みなさんに見てもらいたい。

 みなさんのなかでいわきと言ったら、フィジカルというイメージがあると思いますが、フィジカル以外もいっぱいよさがあるんです。縦にダイレクトにガンガン行って、守る時はみんなで守る。でもそれだけじゃなく、きめ細かさがあります。例えばセットプレーのリスタートを素早く始めたり。勝つために何ができるかを考えていて、そのための一つの要素がフィジカルです。

 足元もかなりうまい選手が揃ってますよ。フィジカルを鍛えることによって、足元の安定感も出てきているように見えます。フィジカルが前面に出ているように見えますが、フィジカルが鍛えられたことで派生していくいろんなよさがいわきにある。そこをみなさんに見てもらいたいなと。

 攻守で組織的に戦えるので、ブラウブリッツ秋田、水戸、栃木SCのような、全員でガチンコで戦うところとの対戦は非常に面白くなりそうです。いわきのおかげで、バチバチで行ったり来たりの速い展開の試合が増えそうです。ワールドカップを見ていても、ゆっくりビルドアップしているチームって意外と少なかったじゃないですか。だからこういうサッカーも実は非常に現代的なんじゃないかと。チンタラやるよりガンガン前に行こうぜというのは、サッカーの根本的なところじゃないかと思っています。

 一方で、ポゼッションを大事にしているチームとの異種格闘技戦みたいな戦いも面白くなりそう。

 昨年は大卒1年目の選手が活躍しました。最終ラインで存在感を出したDF家泉怜依選手、J3得点王になったFW有田稜選手は、いずれも大卒1年目。今治メソッドじゃないですが、いわきにもいわきメソッドみたいなものがあるんじゃないかと。その経験があるので、いわきメソッドのなかでやれば選手を外から取ってきても育てられるという感じは、チームにあるんじゃないでしょうか。

 2022年にJリーグに来たばかりのチームが、いきなりJ1まで行ったら夢があるじゃないですか。Jリーグが始まって30年、こういうやり方もあるというのを見せてくれたら面白いですね。

平畠啓史 
ひらはた・けいじ/1968年8月14日生まれ。大阪府出身。芸能界随一のサッカー通として知られ、サッカー愛溢れる語り口が人気で、多くのサッカー関連番組に出演中。『平畠啓史Jリーグ56クラブ巡礼2020 日本全国56人に会ってきた』(ヨシモトブックス)など、サッカー関連の著書も多い。

◆【画像】Jリーグ30年のベストイレブンフォーメーション。識者10人が選んだ

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