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日本代表に32歳でデビューした水沼宏太の限界突破論。「一昨年はスタメン1試合ですから(苦笑)」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

【あんなに日本代表を応援したのは初めて】

――カタールW杯の日本代表メンバー入りは惜しくも逃しましたが、本大会をどう見つめましたか?

「(メンバー入りを逃したのは)悔しかったですよ。でも代表に一度も行ってなかったら、悔しさも半分以下だったかもしれない。W杯のある年に選んでもらって、見てもらえているのがわかって、代表にい続けたいって思いもあったからこそ、"このピッチに立っていたかった"とは思いました。ただ、始まったら、『マジ頑張れ』って応援していました(笑)。あんなに代表を応援したのは初めて。代表の活躍でサッカー熱が上がったと思うし、サッカーを知らない人も『代表が面白いんだから、Jリーグも見てみようか、F・マリノスが優勝しているんだ』となるはずで、注目されると、選手の価値も上がるはずです」

――W杯で一番、注目した選手は?

「モロッコの試合に夢中でした。どんどん強敵を倒して、楽しすぎて"頑張れ"と。ボランチの(ソフィアン・)アムラバトはよかったですね。みんなうまいんですけど、それ以上に試合にかける思いが強く伝わってきて、そういうチームを応援したくなるんです。みんなひとつになって戦おうぜ、という姿に心揺さぶられまくりました」

――水沼選手はクロスが代名詞となり、それが代表にもつながったと言っても過言ではないですが、どこで身につけたのでしょう?

「F・マリノスに(ユースから昇格で)加入した際に、"自分の武器って何?"って自問自答した時、キックは好きだったし、ちょっとはできるかな、と。ドリブルよりはパスだったので、キックを武器にしようって、居残りでクロスの練習をするようになりました。でも最初は全然うまくいかなくて、ただひたすら蹴っていた感じです。その後に栃木へ移籍して、試合に出てクロスを上げるんだけど、なかなか合わなかった。それが鳥栖に行って......」

――元日本代表FW豊田陽平との出会いですね。

「トヨ君(豊田陽平)という合わせられる選手がいたのは大事で、そこで初めて"俺ってクロスがうまくなっている"って感じられました。自信を持って蹴っていいかな、と思い始めました。周りにもクロスが武器って見られるようになり始めた。宮崎キャンプ中のツエーゲン金沢戦の時、試合後にトヨ君が『あのクロス、俺だったら決めてたぞ! 相変わらず、いいの上げてんな』って言ってくれて、すごく嬉しかったです」

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