移籍状況で今季戦力ダウン必至のJ1クラブを識者3人が指摘。現状維持や主力の流出で大丈夫か (2ページ目)

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【神戸はネームバリューのあるメンバーだが......】

戦力ダウンクラブ/ヴィッセル神戸、ガンバ大阪、アビスパ福岡

小宮良之(スポーツライター)

 移籍状況と関係なく、J2からの昇格組と、昨シーズンJ1残留争いをしたクラブは、やはり戦力的に苦しい。ただ、アルビレックス新潟はプレースタイルを確立しているだけに、昇格の勢いを味方にすることができれば、いいスタートを切れるだろう。シーズンを通して考えると、戦力的には中盤戦以降で厳しくなりそうだが......。

「移籍状況から考察」

 そのテーマに絞るなら、ヴィッセル神戸、ガンバ大阪、アビスパ福岡の名前を挙げたい。

 神戸は、ここ最近は毎年、破格の補強で世間をにぎわせてきた貢献度は高かった。しかし今シーズンはプラスマイナスで、後者に転じた。「バルサ化」が夢の跡になったのは予想どおりだが......。

 戦力的にほかのクラブと比べて劣っていることはない。FW大迫勇也、FW武藤嘉紀、MF山口蛍、DF酒井高徳は、ロシアW杯日本代表メンバーである。しかし、その陣容で降格回避の戦いになっていたし、監督も代わっていないのだ。

 一つ言えるのは、コンディションがいい時のMFアンドレス・イニエスタはワールドクラスのプレーをまだ見せてくれるはずで、その30分間足らずでもスタジアムに足を運ぶ価値はあるだろう。

 一方でガンバは、積極的な補強を敢行した。新たな指揮官にスペイン人のダニエル・ポヤトスを招聘。日本代表のGK谷晃生を湘南ベルマーレから復帰させ、次世代の日本代表を担いそうなDF半田陸をモンテディオ山形から獲得した。ロアッソ熊本から獲得した左利きアタッカー、MF杉山直宏も非常に有望なタレントだ。

 しかし、そもそもポヤトスがそこまで選手の力を引き出し、シーズンを通して戦えるか。ガンバの予算規模で言えば、優勝争いが目標のはずである。そう考えると、スペイン国内ではユースのみの監督で、日本では徳島ヴォルティスをJ1から落とし、昨季はJ2から昇格できなかったポヤトスに実現できるのか。現時点では、不安材料のほうが多い。

 福岡は、「パワー」で勝負するサッカーで功を奏している。2トップの山岸裕也、ルキアンは健在。ただ、クロスの供給減だったMFジョルディ・クルークス、DF志知孝明がそれぞれセレッソ大阪、サンフレッチェ広島に移籍した。

 また、3番手のセンターフォワードとして貴重だったファンマ・デルガドも、V・ファーレン長崎へ移籍。ファンマはラスト3試合連続得点で残留に貢献するなど、勝負強さもあっただけに......。

 キャンプを通じ、どのチームの移籍状況もまだ動く。今シーズンは戦力が拮抗。一人の補強で一転する可能性もありそうだ。

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