なぜ強豪高校サッカー部に女子マネージャーはいなかったのか。近年は増加傾向、多岐に渡って奮闘中 (2ページ目)
マネージャーの仕事は多岐に渡る
「ただの水汲みではなく、マネジメントをやってもらう。プレゼンテーションやパソコンの操作がうまくなったり、社会に出て役立つ力を身につけてほしい」(平野監督)というのが、サッカー部としての考え方だ。
PCを使って情報発信を担当する履正社高校サッカー部の女子マネージャーたちこの記事に関連する写真を見る 彼女たちの仕事は多岐に渡る。近年、SNSやホームページでの情報発信に力を入れるチームが増えており、履正社もそうしたチームの一つ。各種SNSとチーム公式アプリの運用が彼女たちの仕事だが、「普段から、ずっとスマホをイジっているので慣れています」(北野さん)というZ世代は、テキパキこなしていく。
更新の際に使用している写真も、彼女たちが撮影したものだ。チームの仕事が増えている現代の部活動において、マネージャーの重要度は以前よりも増している。
公休を貰って部活動に参加する場合もあり、授業に出られない分は周りから遅れないよう自主的に勉強しなければいけない。勉強と部活の両立は簡単ではないが、部活を通じてスタッフや保護者、サッカー関係者など多くの大人と接するのは、プラスの経験だ。
「部活を通して、挨拶とか人間関係、社会のことを学んだ。履正社高校サッカー部のマネージャーという肩書を背負っているから、ちゃんとしないといけないと思います」(北野さん)
新たにマネージャーを受け入れたもう一校が、浦和レッズのFW江坂任らを輩出してきた兵庫の強豪、神戸弘陵学園高校だ。元々は男子校だったが、2014年に体育クラスと進学クラスが男女共学化。2020年からは全クラスで女子生徒の受け入れがスタートした。
女子生徒の増加に伴い、サッカー部でも女子マネージャーを募集したこともあるが、以前は集まらなかった。希望者が出てきても平日のみの活動を希望するなど熱意のある生徒はおらず、採用には至らなかった。
兵庫県神戸弘陵高校サッカー部の女子マネージャーたちこの記事に関連する写真を見る そうしたなか、昨年春に入学してきたのが平井里青さんだ。中学時代は陸上に励み、サッカーには一切興味がなかったが、テレビで目にした神戸弘陵が選手権で奮闘する姿に心を惹かれたという。
「近所に、こんなに高校生が輝ける場所があるんだと知って、この学校に行きたいと思いました」(平井さん)
もともとは積極的に行動できるタイプではなかったが、神戸弘陵に女子マネージャーが不在だったことを知ったうえで入学。入学式の翌日に谷純一監督に直談判し、晴れて初代マネージャーとなった。
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