荒木遼太郎に「2年目のジンクス」は関係なし。19歳でアントラーズの攻撃を担う存在感 (2ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • photo by Getty Images

【魅力のひとつはポジショニング】

 J1第10節のヴィッセル神戸戦でさっそくプロ初ゴールを決めると、26試合に出場して2得点という成績を残した。2020年はセレッソ大阪の瀬古歩夢にベストヤングプレーヤー賞を譲ったが、受賞してもおかしくないインパクトは残していた。

 ただし、2021年はそれを大きく上回る飛躍だった。

 ルーキーイヤーの活躍は周知の事実であり、対戦相手も警戒を強めてくるなか、荒木は開幕から3試合連続でゴールを量産した。

 荒木の魅力のひとつはポジショニングにある。J1開幕となる清水エスパルス戦の75分に決めたゴールがそうだった。エヴェラウドが放ったヘディングシュートがポストに当たり、跳ね返ったこぼれ球に素早く詰めると、左足でゴールネットを揺らした。

 また、8月28日に行なわれた横浜F・マリノス戦(J1第27節)の15分には、土居のクロスをほぼフリーでヘディングしてゴールを決めている。そこにいること、そこに走り込めていることが、間違いなく才能だった。

 そのポジショニングを引き出しているのが予測、すなわち状況判断にある。自身にとってプロ初となる複数得点を記録したJ1第3節・湘南ベルマーレ戦の60分だった。

 中盤で起点となった荒木は、右サイドの広瀬陸斗に展開すると、そのままゴール前に走り込み、広瀬からのリターンを受けてシュートを決めた。広瀬のラストパスも秀逸だったが、特筆したいのはパスを引き出す荒木の動きにあった。彼は自らがゴールを決めるために周りを使い、そして自らのもとへとパスを引き寄せていた。

 3試合連続ゴールとなったJ1第4節のサンフレッチェ広島戦でのゴールも同様だ。得点の過程で、荒木は一度ボールに絡んだのち、DFの背後に走り込み、パスを引き出していた。それらはゴールへの道筋が見えているからこそ可能なプレーだった。

 技術が高く、運動量もある。至るところに顔を出せるように、いくらでも特徴を挙げられるが、最大の魅力はMFながらふたケタ得点をマークしたシュート意識の高さにある。決めた10得点のうち3得点がミドルレンジからのシュートだった。

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る