2021.12.21

ドン底だった大分トリニータを救った片野坂監督。6年間の冒険は天皇杯準優勝で幕を閉じた

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

 ドン底にいた大分トリニータを片野坂知宏監督が率いて6年。その冒険譚は、新装なった国立競技場で最終章を迎えた。

 すでに今季限りでの退任が発表されている指揮官が、最後の試合を振り返る。

「悔しい敗戦で終わったことは残念だが、浦和というすばらしいチームと新国立競技場でやれたのは喜ばしいこと。新しいトリニータの歴史を刻むことができたのはよかった」

 これがクラブ史上初の決勝進出となった大分に対し、相手は3大会ぶり8度目(Jリーグ創設以前も含む)の優勝を狙う浦和レッズという、対照的な顔合わせたとなった今季の天皇杯決勝。大分は試合開始早々の6分に先制点を許すも、その後は徐々にボールを保持して敵陣に攻め入る時間を増やし、特に後半は優勢に試合を進めていた。

 その間、カウンターからのピンチもあったが、辛うじて浦和の追加点を防ぐと、後半ロスタイム突入目前の90分、FKの流れから最後はDFペレイラが頭で押し込み、土壇場で同点に追いつく粘りも見せた。

 結果的に、大分は1-2で敗れた。同点ゴール直後の90+3分、浦和・DF槙野智章の奇跡的なヘディングシュートに屈した結果である。

同点ゴールを決めたペレイラとハイタッチする片野坂監督。大分トリニータも土壇場で意地を見せたが...同点ゴールを決めたペレイラとハイタッチする片野坂監督。大分トリニータも土壇場で意地を見せたが... この記事に関連する写真を見る  大分は今季、J1では18位に終わり、来季のJ2降格が決定。天皇杯にしてもクラブ史上初の偉業を成し遂げたとはいえ、「やっぱり悔しい。時間が経つにつれて、そこは感じている」と片野坂監督。準優勝という誇らしい成績も、言い換えれば、出場全90チームのなかで最も悔しい敗戦を味わったとも言えるのかもしれない。

 にもかかわらず、表彰式で銀メダルを受けとった大分の選手やスタッフの多くは、傍らでカップを頭上高く掲げる浦和の選手たちに拍手を送っていた。敗戦のショックを考えれば、誰にもできることではないだろう。

 きれいごとがすぎるのかもしれないが、やることはやった、という満足感がそうさせたのかもしれない。