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FC岐阜前社長がJリーグの2021シーズンを総括。「ホームタウン制度」や愛すべきチームへの思いも語った (2ページ目)

  • 恩田聖敬●文 text by Onda Satoshi
  • 写真:恩田氏提供

 おそらく今年は柏木陽介選手の加入もありましたので、更なる人件費高騰が予想されます。練習場も天然芝2面となり、コーチ数やトレーナー数もどのJ3クラブよりも豊富と聞いています。

 J3には不相応な恵まれすぎた環境です。でも勝てない。これってクラブが単純に強さを求めていないのかと思ってしまうのです。フロンターレのようにクラブの夢を全員が語れるようになるのが先じゃないかと思わずにはいられないのです。そういったことに関して私がどうしても気になったトピックスについて触れます。

 今年の10月に目を疑うようなニュースが飛び込んで来ました。

 Jリーグがホームタウンの概念を撤廃する! ネーミングライツも認める! それが今月にも正式決定する⁉︎

 本件はすぐに村井満チェアマンより否定のコメントが出ましたが、こんな報道が出るということはそれを望むクラブが存在する証拠だと思います。

 これはJリーグの根幹を揺るがす事態なので、私見を述べさせていただきます。

 そもそもJリーグのクラブって地域のサポーターやスポンサーあってこそ30年近く存続してきたんじゃないんでしょうか?

 私はホームタウンの概念がなくなるのなら、『FC岐阜』というチームに何の魅力も感じません。私はぶっちゃけサッカーより野球のほうが好きです。FC岐阜の社長になるまでJリーグの試合は1試合も見たことがありません。そんな私が敢えて順風満帆だった東京でのビジネスマンライフを捨てて岐阜に戻ったのは、FC岐阜の先に岐阜県民の笑顔が見えたからです。

 私にFC岐阜社長の白羽の矢が立つ前に関係者間で「FC岐阜社長に求められる3条件」について話し合われたと聞いています。

①民間企業の経営経験がある
②スポーツやエンタメに造詣が深い
そして絶対に外せない3つ目は
③岐阜県出身
です。

 私は岐阜県山県郡高富町(現在の山県市)で生まれ育ちました。とんでもない田舎です(笑)。小学校は1学年1クラス、校区には信号は1つ、当時は実家から最寄りのコンビニまで自転車で15分、高校までは自転車で45分かかりました。けれども私にとっては愛すべき岐阜県でした。

 大学で岐阜県を出たところ、他県の人から「岐阜って何処にあるの?」とか「岐阜って漢字が書けない」など散々言われました。岐阜県の認知度はこんなにも低いのかと思い知らされました。

 だから、社長就任の時に誓いました。『岐阜県にはFC岐阜があると日本中に知らしめてやる!』と。そんな思いを固めた時に当時のチームスタッフから次の話を聞きました。バルセロナでは出生届と同時にFCバルサのファンクラブへの届け出をするのは珍しくないそうです。たしかに赤ちゃんの写真のファンクラブ証を見ました。私は自分が死ぬまでにこれを目指そうと思いました。

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