1位は「何をやってくるかわからない変人」。坪井慶介が選ぶ、イヤだったFWトップ10 (3ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • photo by Getty Images

6位 興梠慎三(浦和レッズ)

 慎三は、寿人に匹敵するオフ・ザ・ボールの動きのうまさがあって、それに加えてちょっと天性の感覚を生かした動きをするんですよ。寿人は常に状況判断が伴ったオフ・ザ・ボールの動きなのに対して、慎三のほうがちょっと野性味がある。その点で読みにくい選手でした。

 それから身体能力の高さ、体のしなやかさも特徴でしたね。ちょっと無理そうなボールでもなんなく収めてしまうポストプレー、あれは本当に嫌でした。クロスに対しての動きが巧みで、あがってくるボールに対しての判断と動き出しは抜群でした。

 鹿島時代から昨シーズンまで9年連続2ケタゴールを挙げているように、フィニッシュのクオリティも高い。とくにペナルティーエリア内で非常に落ちつきがある選手だと思います。

 鹿島時代は抜け出す動きが多かったと思います。ただ浦和に移籍して、とくにミシャ(ミハイロ・ペトロヴィッチ)監督時代は、慎三のところで味方からのボールを受ける質を求められていたので、彼の特徴がより生きたと思います。

5位 アラウージョ(元ガンバ大阪ほか)

 彼の武器は左足のシュートとドリブルですよね。一瞬の速さとペナルティーエリア内の駆け引きで、何回もやられたイメージがあります。動き出しの巧さもあったんですけど、やはりボールを足元で受けてから、独力でなんとかしてしまう能力が際立っていました。そこは守る側としては本当に嫌でした。

 ほぼ左足でプレーする選手だったので、彼と対戦する時はとにかく左足でプレーさせないようにと意識していました。でもそこを逆手にとられて、右足でズドンと決められたこともあって「ミーティングで左足しか使わないって言ってたじゃん!」となりました(笑)。

 とにかく彼の間合いでプレーしてしまうと止めようがなかったので、素早く体を寄せてスピードに乗らせない、自由にドリブルをさせないように意識して対応していました。

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4位 高原直泰(沖縄SV)

 4位から上の選手は、僕がイヤだった面もあるんですけど、プレーしていてワクワクしたり、自分を成長させてくれた選手たちになります。高原もマークしていてしんどい相手なんですけど、そう感じさせてくれた選手の一人です。

 彼にはいろんなやられ方をしましたね。クロスからの動き出しでやられたこともあるし、ポストプレーからクルッと反転して持って行かれたこともあるし、とにかくバリエーションが豊富なので「これを切れば守れる」というのがなく、的を絞りづらい選手でした。

 だから高原に対して対策するより、彼にボールが入らないように出し手を狙ったり、インターセプトを狙う意識でしたね。

 ストライカーとしてあらゆる能力が高かった選手ですけど、そのなかでもシュート技術はずば抜けて高いものがありました。外国人選手って内転筋の強さを生かして強烈なインサイドキックのシュートをよく打つんですけど、日本人にはそうした選手はいないんですよ。

 でもJリーグや代表でのシュート練習で、高原がインサイドの強烈なシュートを何本も決めるんです。初めて見た時は「こんなすごいインサイドシュートを打てる日本人いるんだ」と思いました。

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